帰郷~いいならづけ~2
目覚ましの音で起こされた
二日酔いするほど飲んだ訳じゃないのに頭が、身体が重い
やっと立ち上がりカーテンを開けた
朝陽が目覚めていない俺を照らす
眩しさに片目閉じたまま窓を開けた
まだ暖まっていない空気と小枝を揺する風が気持ちいい
深い深呼吸と背伸びをしてどうにか目覚めた
それでもまだ、長い夢を見ていたような…それにしてはリアル過ぎる疲れだ
そんなあやふやな思いでテーブルの携帯電話を見ると
着信ランプが点滅していた
『無事に帰って来たか?
お前が羨ましいがるような土産話が山ほどあるから、連絡しろよな
待ってるぞー!』
近くではしゃぐ仲間の声
そうだよな
俺はあいつ達の約束を断ってまでして帰ったんだ
三日間の出来事が凄い速さで頭の中をかけていく
そして
最後まで話していたリュウと和音の所でストップした
仕事は順調で忙しいく
友達の土産話しを聞きに会いにも行けそうになく
連絡を入れた
家に帰ると自然に思い出していた
開けてしまったパンドラの箱によって思い出してしまった想い
知らされた事実
俺もたいしたことねぇな
それなりに隠してたはずなのに
千里に気付かれていたとは…
そのあとの日々はリュウに
あの日々はなんだったんだ
『何であんな事を言ったの』
和音の言葉がふと、浮かんだ
噂だけで確かめなかったのはまずかったかな…
だけど
あの時の俺にはきつかった
何であんな一言を言ったんだ
俺が千里に言いたい
『好、き、』
千里に言った訳じゃなかったのかもしれない
あの時をパンドラの箱に詰めて
『彼氏出来たんだってな
良かったな…』
鍵を掛けたのかもしれない
だから
千里が一人暮らしをすることでもめた時
普通に
本当に極普通に
家族のひとりのように
『俺のマンションに来るか?
でも千里、荷物多そうだからな
狭くて無理だよな』
俺の中の居場所か
いつどんな風に感じとろうが
今はあいつは歩き出してる
俺だってそれなりに
なんで今更
あの頃の想いを辿ってどうしろって言うんだよ
ビールを飲み干し
そのままソファーの上で仰向けに倒れた
『想いを残したまま通り過ぎると、いつまでも引きずり
本当にふっ切ったことにはなんねぇぞ
忘れる為に閉じ込めたんじゃなく
忘れたくないからからじゃねぇのか
お前の事見て来ていた事に安心してるんじゃねぇのか
格好付けてる場合じゃねぇだろう』
タケ兄が最後に言っていた事
『なんで分かんないんだろう
ヒロ君が何かに頑張っている時が一番格好いいのに…
連絡とかしなくなって
会う時間も作らなくなるヒロ君はちょっと酷いけど
同時進行出来ない不器用なんだもんね
好きな人が一生懸命になっていることの話しをなんで楽しんで聞けないんだろうね
見かけだけで無く不器用なとこも好きになってくれる人が現れるよ…きっと…たぶん…
ドンマイ!ヒロ君』
そんなことを言われたことがあったな
世話を掛けやがって…
そう思っていたけど
いつでも傍にいて
助けを求めに来て
俺の事を分かっているような生意気な事を言う
俺は
安心してたのか…
今更どうする
俺の想いの整理の為に
歩き出した千里を迷わせるような事
タケ兄も
リュウ達も
それをしてどうしろって言うんだよ
自分に向き合い
あの時の思い出と想い
今までの思い出と想い
気付いて良かったのか
目をふさぐように両腕を交差させ
全てを隠し握り絞めた
携帯電話のメール受信ランプが点滅した
『話したい事があります
日にちと時間は合わせます。
連絡を下さい』
千里の彼氏からだった
タイミング良すぎだろ
気付くとスケジュールを確認して
三日後21時と、連絡していた
約束の日迄
何があったのか
そういえば最近千里から連絡が無い
嫁に出した父親ってこんな感じなのだろうか
そんなことをふと、思った
やっぱり千里は
家族の枠の中なのだろうか
思ったより
俺は優柔不断らしい
約束の日
仕事が押して遅くなった22時過ぎた街中は
平日ということもあり人は疎ら
ご機嫌なお父さん達を何人か避けながら店に急いだ
千里も一緒に何度か来た待ち合わせの焼鳥屋に着いた
年期の入って色が黒ずんだ赤提灯
見た目と違い綺麗になっている暖簾
引き戸を開けると
いつもと違い空席が目立つ中
変わらない威勢のいい店員の掛け声に軽く応え
待ち人を探すと
店の隅でジョッキを見つめていた
注文してからテーブルに向かい
遅くなったことの挨拶をして上着を脱ぎ座るのと同時にビールが届いた
ほとんど反応が無く
想い詰めたような顔で相変わらずジョッキを見つめている
重い空気に
袖口のボタンを外しまくりあげ
第一ボタンを外しネクタイを緩め、一息吐き気にしながらも一気に半分ほど飲みジョッキを置いた
違った意味でまた一息吐き
向き合った顔は思い詰めているようで、会話のキッカケを探した
『一ヶ月位前、千里ちゃんのマンションに居た時に和音ちゃんが来たんです…
いつもなら一緒に食事したり話すのに
その日は…
立ち聞きするつもりなんか無かったけど
ヒロさん田舎に帰ったんですね
何があったのかは知りませんが
「ヒロ君にみんな話しちゃった
ゴメン…」
話さないんですよ
それから一言も
ヤキモチやくほどヒロさんの名前聞いていたのに
俺が名前出しても軽く流して
笑うんです
哀しいほどさりげなく笑うんです』
真っ直ぐに俺を見て話す
今までとは違う空気と真剣な想いが
俺をゆっくり押さえ付けるようで
テーブルに置いたジョッキから手を離すことすら出来なかった
温まってしまったであろうジョッキを手に取ると、残っていたビールを一気に飲み干し覚悟を決めたような顔でジョッキを置いた
『ヒロさんを紹介された時に気付いていたような気がします
こうなるだろうって
でも、どこかで期待してしまった、千里ちゃんの優しさに
出会う順番が違っていたら良かったのに
ヒロさんの彼女として会っていたら
このままでもいられたのに…
好きな人の為に身を引くなんてことありえないと思ってました
でも
彼女に出会って
好きになって
本気で好きになって
わかってんです
好きな人が本当の笑顔じゃ無いって辛いもんですよ
自分で気付いていない事が一番辛いんです
後悔はしていません
こんな想いを知りること出来たし
ヒロさんとも出会えたし
本気で女性(ひと)を好きになれたし
ただ
ヒロさんが遊び気分だったり
人として最低だったら
俺だって…』
「その気が無いのに相手をさせられた奴がいい迷惑だよな
自分で気付いてないのが質が悪い」
言われたことを思い出した
じんわりと締め付けられるように苦しくなった
『千里ちゃんのこと幸せにしてあげて下さい
ヒロさんなら仕方ないですからね』
軽く頭を下げ立ち上がった
思いも付かなかった展開に戸惑いながら
整理仕立ての自分の気持ちを思い出し
精一杯の想いに応えなければ
巻き込んでしまったことにに対してもきちんと応えなければ
焦るだけで言葉が出ないまま
一緒に立ち上がった
『ヒロさん…一つだけお願いがあるんですが』
申し訳なさそうに言い出した
『…千里ちゃんに気付か無かったことに…
俺の…未練を断ち切る為に…
ヒロさん…殴らせてもらいます』
真剣な瞳は潤んでいた
言葉になったかどうか一言告げ覚悟すると
バシッ!
椅子に倒れ込んだ
その様子と物音に店の中は一瞬騒がしくなった
痛かった
あいつの想いが
胸にも痛かった
千里を幸せにしろと全身で訴えるように店を出て行った
立ち上がり椅子を起こし整え
騒がした事をみんなに謝っていると
『使えっ』
店長がおしぼりを投げて来た
ちょっとこわおもてだがどことなく、タケ兄に似ている
だからこの店が居心地良かったのかもしれない
切れた口元を拭くと
『イテッ!』
二日酔いするほど飲んだ訳じゃないのに頭が、身体が重い
やっと立ち上がりカーテンを開けた
朝陽が目覚めていない俺を照らす
眩しさに片目閉じたまま窓を開けた
まだ暖まっていない空気と小枝を揺する風が気持ちいい
深い深呼吸と背伸びをしてどうにか目覚めた
それでもまだ、長い夢を見ていたような…それにしてはリアル過ぎる疲れだ
そんなあやふやな思いでテーブルの携帯電話を見ると
着信ランプが点滅していた
『無事に帰って来たか?
お前が羨ましいがるような土産話が山ほどあるから、連絡しろよな
待ってるぞー!』
近くではしゃぐ仲間の声
そうだよな
俺はあいつ達の約束を断ってまでして帰ったんだ
三日間の出来事が凄い速さで頭の中をかけていく
そして
最後まで話していたリュウと和音の所でストップした
仕事は順調で忙しいく
友達の土産話しを聞きに会いにも行けそうになく
連絡を入れた
家に帰ると自然に思い出していた
開けてしまったパンドラの箱によって思い出してしまった想い
知らされた事実
俺もたいしたことねぇな
それなりに隠してたはずなのに
千里に気付かれていたとは…
そのあとの日々はリュウに
あの日々はなんだったんだ
『何であんな事を言ったの』
和音の言葉がふと、浮かんだ
噂だけで確かめなかったのはまずかったかな…
だけど
あの時の俺にはきつかった
何であんな一言を言ったんだ
俺が千里に言いたい
『好、き、』
千里に言った訳じゃなかったのかもしれない
あの時をパンドラの箱に詰めて
『彼氏出来たんだってな
良かったな…』
鍵を掛けたのかもしれない
だから
千里が一人暮らしをすることでもめた時
普通に
本当に極普通に
家族のひとりのように
『俺のマンションに来るか?
でも千里、荷物多そうだからな
狭くて無理だよな』
俺の中の居場所か
いつどんな風に感じとろうが
今はあいつは歩き出してる
俺だってそれなりに
なんで今更
あの頃の想いを辿ってどうしろって言うんだよ
ビールを飲み干し
そのままソファーの上で仰向けに倒れた
『想いを残したまま通り過ぎると、いつまでも引きずり
本当にふっ切ったことにはなんねぇぞ
忘れる為に閉じ込めたんじゃなく
忘れたくないからからじゃねぇのか
お前の事見て来ていた事に安心してるんじゃねぇのか
格好付けてる場合じゃねぇだろう』
タケ兄が最後に言っていた事
『なんで分かんないんだろう
ヒロ君が何かに頑張っている時が一番格好いいのに…
連絡とかしなくなって
会う時間も作らなくなるヒロ君はちょっと酷いけど
同時進行出来ない不器用なんだもんね
好きな人が一生懸命になっていることの話しをなんで楽しんで聞けないんだろうね
見かけだけで無く不器用なとこも好きになってくれる人が現れるよ…きっと…たぶん…
ドンマイ!ヒロ君』
そんなことを言われたことがあったな
世話を掛けやがって…
そう思っていたけど
いつでも傍にいて
助けを求めに来て
俺の事を分かっているような生意気な事を言う
俺は
安心してたのか…
今更どうする
俺の想いの整理の為に
歩き出した千里を迷わせるような事
タケ兄も
リュウ達も
それをしてどうしろって言うんだよ
自分に向き合い
あの時の思い出と想い
今までの思い出と想い
気付いて良かったのか
目をふさぐように両腕を交差させ
全てを隠し握り絞めた
携帯電話のメール受信ランプが点滅した
『話したい事があります
日にちと時間は合わせます。
連絡を下さい』
千里の彼氏からだった
タイミング良すぎだろ
気付くとスケジュールを確認して
三日後21時と、連絡していた
約束の日迄
何があったのか
そういえば最近千里から連絡が無い
嫁に出した父親ってこんな感じなのだろうか
そんなことをふと、思った
やっぱり千里は
家族の枠の中なのだろうか
思ったより
俺は優柔不断らしい
約束の日
仕事が押して遅くなった22時過ぎた街中は
平日ということもあり人は疎ら
ご機嫌なお父さん達を何人か避けながら店に急いだ
千里も一緒に何度か来た待ち合わせの焼鳥屋に着いた
年期の入って色が黒ずんだ赤提灯
見た目と違い綺麗になっている暖簾
引き戸を開けると
いつもと違い空席が目立つ中
変わらない威勢のいい店員の掛け声に軽く応え
待ち人を探すと
店の隅でジョッキを見つめていた
注文してからテーブルに向かい
遅くなったことの挨拶をして上着を脱ぎ座るのと同時にビールが届いた
ほとんど反応が無く
想い詰めたような顔で相変わらずジョッキを見つめている
重い空気に
袖口のボタンを外しまくりあげ
第一ボタンを外しネクタイを緩め、一息吐き気にしながらも一気に半分ほど飲みジョッキを置いた
違った意味でまた一息吐き
向き合った顔は思い詰めているようで、会話のキッカケを探した
『一ヶ月位前、千里ちゃんのマンションに居た時に和音ちゃんが来たんです…
いつもなら一緒に食事したり話すのに
その日は…
立ち聞きするつもりなんか無かったけど
ヒロさん田舎に帰ったんですね
何があったのかは知りませんが
「ヒロ君にみんな話しちゃった
ゴメン…」
話さないんですよ
それから一言も
ヤキモチやくほどヒロさんの名前聞いていたのに
俺が名前出しても軽く流して
笑うんです
哀しいほどさりげなく笑うんです』
真っ直ぐに俺を見て話す
今までとは違う空気と真剣な想いが
俺をゆっくり押さえ付けるようで
テーブルに置いたジョッキから手を離すことすら出来なかった
温まってしまったであろうジョッキを手に取ると、残っていたビールを一気に飲み干し覚悟を決めたような顔でジョッキを置いた
『ヒロさんを紹介された時に気付いていたような気がします
こうなるだろうって
でも、どこかで期待してしまった、千里ちゃんの優しさに
出会う順番が違っていたら良かったのに
ヒロさんの彼女として会っていたら
このままでもいられたのに…
好きな人の為に身を引くなんてことありえないと思ってました
でも
彼女に出会って
好きになって
本気で好きになって
わかってんです
好きな人が本当の笑顔じゃ無いって辛いもんですよ
自分で気付いていない事が一番辛いんです
後悔はしていません
こんな想いを知りること出来たし
ヒロさんとも出会えたし
本気で女性(ひと)を好きになれたし
ただ
ヒロさんが遊び気分だったり
人として最低だったら
俺だって…』
「その気が無いのに相手をさせられた奴がいい迷惑だよな
自分で気付いてないのが質が悪い」
言われたことを思い出した
じんわりと締め付けられるように苦しくなった
『千里ちゃんのこと幸せにしてあげて下さい
ヒロさんなら仕方ないですからね』
軽く頭を下げ立ち上がった
思いも付かなかった展開に戸惑いながら
整理仕立ての自分の気持ちを思い出し
精一杯の想いに応えなければ
巻き込んでしまったことにに対してもきちんと応えなければ
焦るだけで言葉が出ないまま
一緒に立ち上がった
『ヒロさん…一つだけお願いがあるんですが』
申し訳なさそうに言い出した
『…千里ちゃんに気付か無かったことに…
俺の…未練を断ち切る為に…
ヒロさん…殴らせてもらいます』
真剣な瞳は潤んでいた
言葉になったかどうか一言告げ覚悟すると
バシッ!
椅子に倒れ込んだ
その様子と物音に店の中は一瞬騒がしくなった
痛かった
あいつの想いが
胸にも痛かった
千里を幸せにしろと全身で訴えるように店を出て行った
立ち上がり椅子を起こし整え
騒がした事をみんなに謝っていると
『使えっ』
店長がおしぼりを投げて来た
ちょっとこわおもてだがどことなく、タケ兄に似ている
だからこの店が居心地良かったのかもしれない
切れた口元を拭くと
『イテッ!』