この仕事をしていて、お客様から受ける質問の中に
「これって事故物件だったりしますか?」とか
「事故物件って本当にあるんですか?」なんてのがあります。
テレビの不動産バラエティなどでは、
必ずと言っていいほど「事故物件」のコーナーが
有ったりしますね。
まぁ、実際に事故物件はあります。
今回はその事故物件について書いてみようと思います。
誰かが住むと、告知する必要が無いのか?
事故物件(業界では心理的瑕疵物件といいます)は、
契約前に、不動産業者は入居者・購入者に対して
告知する義務があります。
でも、事故物件でも、誰かが一度住んだら、
告知する必要は無い。
なんて事聞いたことありませんか?
これ、実は半分本当で、半分はウソです
自殺後の物件に住むことの心理的嫌悪感は時間の経過とともに希薄となるものであるうえ、一般的に、自殺事故の後に新たな賃借人が居住をすれば、特別の事情(その賃借人がごく短期間で退去したといった事情)がない限り、新たな居住者がその物件で一定期間生活をすること自体により、その後の入居者の心理的嫌悪感の影響もかなりの程度薄れるとして、自殺があった後の最初の入居者に対しては宅建業法上の告知義務があるものの、(一旦別の入居者がいた場合には)その後の入居者に対しては、特別な事情がない限り、宅建業法上の告知義務はない (東京地裁平成19年8月10日判決)
実際にこのような判例があります。
簡単に説明をすると、
自殺後の物件でも、次の入居者がある程度の期間そこに居住をしたのなら、次の入居者への告知義務はない。
ということです。
ここで大事なのは、赤字の部分。
噂されているような、「不動産会社の社員の住民票だけを一時的に移す」
「アルバイトを使って、一時的にそこに住ませる」
なんていう短期・一時的な居住では、
告知義務がなくなることは無いと解釈されます。
なので、かならずしも「誰かが一度住めば告知義務は無い」という事にはなりません。
ただ、その一定期間の居住と言うのが法律で決まっているわけではないので、
3ヶ月ならOKなのか?半年ならOKか?という事は、
その都度裁判で判決を待つしかありません。「入居者が何年住めば告知義務はなくなるのか?」
「事故から何年たてば告知義務がなくなるのか?」
という事は、法律で決まっていないので、それが是か非かを
ハッキリさせるのは、揉め事が起こってから、
裁判しか無いって事になってしまいます。
なので、どうしても不安なら、
「この物件は年数や居住実績に関わらず、過去
に自殺や事件は起こったりしていませんか?」と
聞いてみてもいいかもしれません。
僕としては、後々トラブルになる事を考えると、
ありのままの事実をつたえるべきだと考えています。
今回の記事は、判例など法解釈も関わってくる記事を書いています。