固定金利か変動金利か、どちらがよいかと尋ねられると、皆様はどう答えますか?




正直ベースでいえば、固定金利がよいと思っています。


フラット35推進派ですか、と聞かれれば、そうだと考えます。


私がコンサルティングをしたお客様は、フラット35を選ぶ方が確かに多いのです。


相場観を持つ人が、私の提案するリスクシナリオ(6年後に金利が3%上がる)に対し、「痛い」とか「不勉強」とか書かれていますが、リスクシナリオだということを、どうもご理解いただけないようです。


リスクシナリオは、発生する確率が低いが、将来、予想される悪い状態を確認し、現時点でとるべき対策がないかどうかを確認するためにたてるもので、将来のメインの金利予測とは異なります。


逆に、リスクシナリオが現実になったら、どうするつもりなのでしょうか?




私がコンサルティングした方の中にも、10年固定を選ぶ人もいますし、ごくわずかですが変動金利を選ぶ人もいます。


10年固定を選んだのは、家計のリスク許容度が大きい人で、その金利変動リスクを許容できる人が、その許容範囲内でリスクをとるのは、全く問題ないと考えます。


変動金利を選んだのは、リスク許容度はもちろんですが、個人で金利リスクを管理する能力がある方です。リスク管理能力があれば、リスクを取るのは全く問題ないと考えます。




私が、フラット35を勧めるのは、多くの家計がリスク許容度が十分でなく、多くの人のリスク管理能力が十分でない、そう考えているからです。


リスクをとれる人は、とっていただいて構わないと思います。


元職場には、金利のプロがたくさんいます。自分の相場観で変動金利を選択する人もいれば、固定金利を選択する人もいます。


これらの人たちは、自分の考えが間違っていないと主張し、私はその主張に反対も賛成もせず、その意見を聞くだけです。


なぜなら、その人たちは、リスクが顕在化したら、自分で管理し、損失を最小限にとどめる方法をしっていて、おそらく実行できるからです。


「なんでとめてくれなかったんですか」と、絶対に言わない人たちなのです。




ネットでは、金利タイプの選択を、金利予測のみで議論する人がいますが、なぜそうなるのか理解ができません。


自分の相場観に自信があるのはまだよいのですが、人生賭けるほとどの自信があって、他人に相場観を押し付けようとすることには、驚きを禁じえないのですが、おそらくは、私の元職場にいたような金利のプロなのでしょう。


そんな人たちは、大きな勘違いをしがちなのです。


それは、「自分にできることが、他人もできる」という勘違いです。



住宅ローンは、金利が予想外に動いたからといって、手じまうことはできません。


短期的な損切りができないならば、戦略はリスクヘッジを優先にすべきではないでしょうか。


金利上昇時に、固定金利にスイッチできるのは、金利を定期観察し、かつ損切りがきちんとできるような一部の人だけで、誰にでもできるものではありません。



もし、金利が上昇するとしたら、現在の局面ではおそらく長期金利から上がっていくでしょう。


長期金利が動きだした、そんな時期にしか、固定化するメリットにはなりえないのです。


しかし、多くの人は変動金利が上昇しなければ長期固定に変えようとすら思わないでしょう。


結局、金利が上昇し始めても、その人は変動金利でずっといくことになるでしょう。


金融引き締めがもし起きたら、変動金利は固定金利よりおそらく高くなるのです。


そうなった時に、「そこまで上がるとは聞いていなかった、考えていなかった」というに違いありません。



また、変動金利はそんなに上がらないと、変動金利を選ぶ人は一様にそう言います。


景気は回復しない、でも財政リスクは顕在化しない、円安によるコストプッシュインフレもない、のないないづくしの予想なのでしょうか?

元職場の先輩からは「先進国は金利の急上昇が起きないように、中央銀行がコントロールする」とも言われましたが、コントロールする前提であっても金利は、少なくとも2~3%くらいは上昇する可能性はあると思います。実際に、イタリア国債は、リーマンショックの時に、一時的ではありますが3%以上上昇しました。


この程度の上昇であっても、私がコンサルしている範囲では、変動金利で借りている人の多くは、家計のリスク許容度を超えるのではないかと思われて仕方がありません。




私は、金利上昇は津波のようなものだと考えています。


過去に起きた金利上昇が絶対に起きないとか、過去の経緯から金利上昇はないとか、そんな予測が精緻にできるほど、現時点での世の中の予測能力は高くないと考えています。


20メートルの津波がきたら、避難場所がどこかを探しているようじゃ、間に合わないのです。


よって、最初から高い場所に住むか、低地に住むのであれば避難方法を身につけるか、どちらかしかないのです。


個人にとって数千万円という、少なくない債務を負うという事情を鑑みれば、損得の前にリスク管理、というスタンスでアドバイスをすることが重要なのでなないでしょうか。

ずっとサボっていました。


日経のコラムにエネルギーを持っていかれていました。

もう半年以上連載が続いていて、次のネタに常に悩んでいます。


そんな厳しい状況にもかかわらず、住宅ローンを学習するテキストを作成を始めました。


内容の特徴は、ズバリ!これですっきり「住宅ローンを選びきるための計算読本」です。


借入金額

借入期間

返済タイプ

金利タイプ

優遇タイプ

保証料タイプ

手数料タイプ

繰上返済 など、


様々な組み合わせにより、コストがどのように差がつくのかを計算できるようにするものです。


この前、一人のお客様の試算で丸4日くらいかかってしまいました。

その経験を踏まえて、より短時間で答えを出す方法を考えました。


今回はそれだけではありません。

保有現金と借入金がどうバランスし、将来どのように変化するのかも考えます。


住宅ローンのコストを安くするためだけの商品設計は簡単なのですが、

家計の安全性とのバランスをとるには、住宅ローン、キャッシュフロー、ストックとの

バランスを慎重に検討する必要があるからです。


結構、本気で作っています。


できれば、5月中に完成を目指しています。

さて、「世界一わかりやすい金利の本」のP.36には、



「借入期間の短い金利<借入期間の長い金利」



と記載されている。



借入期間が長いほうが、短いほうよりも金利が高くなる理由については、こう述べている。



「貸出す銀行側からすると、長期にわたってお金を貸すのは何かと不安です。



不測の事態が起きて、返済が途絶えるかもしれません。



そこで返済されない可能性を考えて、借入期間が長くなるほど、金利が高くなっているのです。



金融市場の金利水準も通常、期間が長い方が高くなっています。」





本当に「借入期間が長い」と金利は高くなるのかを、フラット35で検証してみよう。


借入期間15~20年までは、フラット20が1.86%(2012年1月最低水準)の金利が適用される。


借入期間21~35年までは、フラット35で2.14%(同上)。


借入期間36~50年までは、フラット50で2.89%(同上)。


確かに、借入期間が長くなると、金利が高くなっている。



では、変動金利はどうだろうか。


15年、35年など、借入期間を変化させて変動金利は適用金利が変わるだろうか。


実は、ほとんどの銀行は変わらない。


ただ、例外はある。たとえば秋田銀行 などだ。



(変動金利)


ご利用期間 5年以内 5年超10年以内 10年超
金 利 2.625% 2.675% 2.725%






ただ、本書をよく読むと、文字通り「借入期間」の違いによる金利変化を説明しているとは思えない。


なぜなら、本文中でイールドカーブの説明を参照するように指示しているからだ。


P.94のイールドカーブの説明を見てみよう。


イールドカーブとは異なる期間の金利の水準を期間の短いほうから長いほうへと結んで、1つの線にしたグラフです。


さらに本文中では、国債などを例示しているが、これらは償還期間と固定金利が一致しているものが多い。


たとえば、10年債は10年固定金利、2年債は2年固定金利などがそうだ。


変動利付債やインフレ連動債など、償還期間と金利の固定期間が一致していないものは存在しているが、その商品名で、期間が一致していないことを説明しているではないか。


おそらく、筆者は国債などをメインに想定していて、住宅ローンのように、借入期間と固定期間がバラバラな商品のことは、簡単に書くために細かい説明をするのをやめたのではないか。


よって、住宅ローンにあてはめてこの文章を読もうと思ったら、「借入期間」ではなく「金利の固定期間」と言い換えてみたらどうか。



「固定期間の短い金利<固定期間の長い金利」



では、固定期間が長いほうが本当に金利が高いのか、1983年以降のデータで確認してみよう。


住宅ローンだけでなく、お家を買う時のお金のはなし-金利推移36年


注:

1983年5月~2003年12月までの住宅金融公庫の当初金利と、2004年1月以降のフラット35の基準金利の最低値を全期間固定としてとらえ、変動金利は1983年5月以降のメガバンクの変動金利の店頭金利(基準金利)を比較した。


比較した結果は次の通り。


344か月中、変動金利が固定金利を上回っている時期は、186か月もある。


全期間中、56%は変動金利の方が高いので、本書は正しいのだろうか、と疑いたくなる。



もちろん、このような現象については、本文で逆イールド(将来金利が下がると予想する人が多い場合に、短い金利が高く、長い金利が低くなる)として、4ページも割いて説明している。



本当にそうなのだろうか。

これまで、将来金利が下がると予想する人が多い期間が半分以上もあったのだろうか。


確かに、1990年以降のバブル経済崩壊後はそういう予想する人は多かったと思うが、ゼロ金利政策以降は金利はもう下がらないと予想する人が多かったのではないだろうか。


そう考えると、住宅ローンの金利は、国債などの金利とは少し違った動きをする性質があることがわかる。


その特殊性を私なりに以下の通り分析してみた。



1 住宅金融公庫は法定上限5.5%


実は、住宅金融公庫の金利は、法律で当初金利を法定で5.5%超にはならないと決められている。


したがって、市場金利が上昇していたとしても、金利が5.5%でとどまってしまうので、1990年代に入って金利全体が低下するまで、変動金利が固定金利を上回ってしまったのだ。


そのような時期が90か月程度あると推測される。



2 金利決定方法の違い


変動金利は、銀行が短期市場の金利を参考に短期プライムレートを設定し、それに連動して決定される。


ただし、その短期プライムレートはは、市場金利にその銀行のコスト(利益も含まれる、以下同じ)を上乗せして設定されるのが原則だ。


それに対して、フラット35は、新発10年国債流通利回りを基準として算定した利率に、コストを上乗せして決定さる。


ここで、両者の大きな相違を生むのが、それぞれのコストレートの設定方法ではないかと思う。


変動金利の方で上乗せするコストは、6か月TIBORが0.44%くらいなので、2.035%程度と予測される。


フラット35のコストは、金融機関により異なるが、最安金利を提示している金融機関は0.7%とみられる。


つまり、変動金利のコストが高いことから、市場金利がどんどん下がっても、コストレートを加味した金利以下には下がらないのではないだろうか。


私なりに概算すると、そういう期間は50か月弱ほどあると思う。



3 優遇制度の存在


変動金利は、優遇制度が存在する。


2006年くらいであれば、メガバンクだと店頭金利から0.7%引くのが公表されている最優遇水準だった。


しかし現在では、1.6%優遇を行うメガバンクが存在する。


おそらく、店頭金利はもう下げられないので、適用金利を下げるために、優遇幅を拡大したのだろう。


よって、最優遇の適用金利で比べると、短い金利が低い期間が20か月以上あることがわかる。(前述の2の50か月とダブルカウントしていますが…。)



これらの特殊要因を差し引くと、金利低下を予想して逆イールドになっていた期間は40か月程度となる。


そうであれば、長い固定期間より金利は短い固定期間よりも金利が高い、というのは全体の11%程度の期間なので、おおむね正しいといってよいと思う。