映画「フラガール」の制作を支援したジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC)が、金融庁から信託免許を取り消される見通しとなった。関係者が15日明らかにした。同社の純資産額が、信託業法で定める下限を割り込んだためとみられる。JDCは2005年に銀行以外の専業会社として戦後初めて信託業に参入したが、事業が軌道に乗らないまま4年で撤退を迫られることになった。

JDCは、一般投資家から集めた資金を映画やゲームの制作会社に供給するビジネスを構築したが、フラガール以降はヒット作に恵まれず、赤字が続いた。via:時事通信

映画ビジネスは通常は製作委員会方式といって、その映画に関連する会社が集まって資金を出し合います。通常は「配給会社」「テレビ局」「ビデオ販売会社」「出版社」「大手芸能プロダクション」「広告代理店」「BS、CS局」「ネット、モバイルメディア」などが参加します。

ただ、この方式だと合議制になってしまうので、著作権の取り回しや、スピード感などで難しい面が多く、更に実際に企画・制作を手がける制作会社は資金に余裕がないケースが多いので、製作委員会に入ることができずに、映画がヒットしようが、どうしようが収入は一定で、制作側が中々育たないというデメリットがありました。

そんな中、JDCは映画などの資金調達をファンドといった形式で集めて、著作権の所在を明確にして、実際の制作側にも一定の権利が残るような形を目指していただけに、今回の失敗は残念です。

失敗した大きな理由は、映画は今、2極化が急速に進んでおり、凄くヒットするものと、全然ダメなものが明確になってきています。ヒットするものは有名な原作ものや、テレビのヒットドラマなど、元々知名度が高かったものに限られており、質の高いオリジナル作品というものが殆ど流行らなくなってしまいました。

有名原作やヒットドラマなどを元にしたものは、かなりの確立でヒットすることが分かっているので、こういった作品は映画に関連する会社が自分たちの資金で製作委員会を組んでやりたがり、JDCなどの外部のファンドに回ってくるのは、必然的にリスクが高いマイナー作になってしまいます。

第一弾のフラガールの奇跡的なヒットがあったものの、これは映画界にたまに起こる奇跡で、規模が小さい作品を宣伝してディストリビュートさせ、収益を上げていく新しい方法を考え出さないと、日本の映画界に未来は無いと思います。

大規模作品はどうしても万人に受ける作品で無難なものが中心になってしまうので、あまり冒険的な意欲作は生まれないし、本数も限られてくるので経験の少ない監督の出番がますます減ってしまいます。

今後、エンタメ産業は世界的にまだまだ伸びていく分野です。この中で日本がしっかりと存在感を出していくためには、大メジャー以外の映画でも収支が立つような構造を築いていく必要があると思います。