先日に世間を大きく騒がせた、GoogleによるYouTubeの買収。著作権侵害による訴訟問題を抱えるYouTubeを買収することに対する、疑問の声は様々なところから上がっていました。
その疑問の声を後押しするかのように、10月13日にTime WarnerのDick Parsons会長は, 英Guardianからの取材で、Googleに対しての訴訟も示唆し、そして、14日にはNews Corp、NBC Universal(GE)、Viacomなどの大手メディアが共同でYouTubeとの著作権侵害を訴える交渉に入ると声明した。
Google faces copyright fight over YouTube:Guradian
Media Titans Pressure YouTube Over Copyrights:WSJ
この中で驚かされるのは、賠償請求額の巨額さです。1本の違法ビデオに対して、なんと15万ドル!合計で7000万本ともいわれるコンテンツの10%が著作権違反と認定されると、賠償総額は、なななんと 1兆500億ドル(約120兆円)!!
Googleがどこまで賠償請求を引き受けなくてはいけないかに関しては、池田信夫さんは有限責任ではなく無限責任だと仰っており、404 Blog Not Foundさんと47thさんは有限責任なので出資金以上の賠償責任は無いとさせています。
Google/YouTubeの深いポケット:池田信夫
子会社の賠償責任は親会社に及ぶか?: 404 Blog Not Found
私は法律には詳しくないので、どちらが仰っていることが正しいのかは分からないのですが、両者の仰っていることを拝見する限りは、子会社(YouTube)の損害賠償を親会社(Google)が引き受けるということは無いんじゃないかなと思いました。
そうでないと株式会社の存在意味の中核の有限責任というものが成り立たなくなってしまい、恐ろしくて投資など出来なくなってしまうのではないでしょうか。
ただ、今回の大手メディアからの声明発表は、これからGoogleとの交渉に入る前の軽いジャブみたいなものでしょうから、これがスグに訴訟に繋がるというものではないと思います。
今回の買収に関して真っ先に否定的な声明を出した、Mark Cuban氏などは考えを少し改めたようで(とはいっても過激なほうに)
大手メディアがスグにGooTubeを訴えることはせずに、まず、資金力の弱いYouTubeもどきの動画共有サイトを訴えて、YouTubeが合法であるというよりどころになっているDigital Millennium Copyright Actを無効にしてから、GooTubeを訴えるのではないかなどと、このビジネス予想ゲームを楽しんでいます。
Cubanがいうように、今までに無かった大手メディアと新興メディアの駆け引き合戦を、多くの人がFantasy sportsを楽しむように、Fantasy Businessとして予想するのはとても楽しいです。
また外れて恥をかくのでは無いかという心配はあるのですが、思い切ってこの交渉の行く末を予想してみます(笑)!
僕は、大手メディア企業は既にYouTubeと提携することを決めているのではないかと思います。その中で、いかにいい条件をGoogleから引き出すのかというのが今回のブラフ&交渉の目的で、訴訟に持ち込んで収益の機会を失うような愚は犯さないと思います。
大手メディア企業は自分たちの保有するコンテンツを流通させることができる窓口を増やすたびにその収益を拡大してきました。GooTubeが流通させようとしているコンテンツは、大手メディアが今まで収益化させることが出来なかったコンテンツです。もしこれらのコンテンツをGooTubeが上手く収益化させることができると、その恩恵を真っ先に受けるのは大手メディア企業です。
彼らが自分たちのコンテンツを独占して、自分たちのサイトからだけで観賞できる様にした方が良いと考えるのであれば、彼らはitunesと提携することは絶対に無かったでしょうし、AmazonやWalmartなどでのダウンロード販売にも応じなかったと思います。
コンテンツ保有企業はウインドウが増えるたびに収益を拡大できる
大手メディア企業は、今までの歴史の中でこのことを完全に理解してきている思います。
なので僕は今回のポイントはGooTubeと大手メディアのどちらが訴訟で勝つかというのがポイントではなく、GooTubeと大手メディアがどの様な条件で提携するのかというのがポイントなのではないかと思います。
アメリカにおいて、大手メディアがネットでのコンテンツ流通を自分たちで独占するのか、上手くネット企業とパートナーを組むことを選ぶのかという問いは、スティーブ・ジョブスが音楽業界を説得してitunesをはじめた時に答えは既に出たのかもしれません。
追記:
47thさんのブログで今回の訴訟のリスクに関して詳しく説明がされていました。
有限責任と「親」の責任:47th
磯崎さんのブログでは買収スキームの説明がされていました。
GoogleのYouTube買収と有限責任性:isologue
お二方ともさすがの分析です。
その疑問の声を後押しするかのように、10月13日にTime WarnerのDick Parsons会長は, 英Guardianからの取材で、Googleに対しての訴訟も示唆し、そして、14日にはNews Corp、NBC Universal(GE)、Viacomなどの大手メディアが共同でYouTubeとの著作権侵害を訴える交渉に入ると声明した。
Google faces copyright fight over YouTube:Guradian
Media Titans Pressure YouTube Over Copyrights:WSJ
この中で驚かされるのは、賠償請求額の巨額さです。1本の違法ビデオに対して、なんと15万ドル!合計で7000万本ともいわれるコンテンツの10%が著作権違反と認定されると、賠償総額は、なななんと 1兆500億ドル(約120兆円)!!
Googleがどこまで賠償請求を引き受けなくてはいけないかに関しては、池田信夫さんは有限責任ではなく無限責任だと仰っており、404 Blog Not Foundさんと47thさんは有限責任なので出資金以上の賠償責任は無いとさせています。
Google/YouTubeの深いポケット:池田信夫
子会社の賠償責任は親会社に及ぶか?: 404 Blog Not Found
私は法律には詳しくないので、どちらが仰っていることが正しいのかは分からないのですが、両者の仰っていることを拝見する限りは、子会社(YouTube)の損害賠償を親会社(Google)が引き受けるということは無いんじゃないかなと思いました。
そうでないと株式会社の存在意味の中核の有限責任というものが成り立たなくなってしまい、恐ろしくて投資など出来なくなってしまうのではないでしょうか。
ただ、今回の大手メディアからの声明発表は、これからGoogleとの交渉に入る前の軽いジャブみたいなものでしょうから、これがスグに訴訟に繋がるというものではないと思います。
今回の買収に関して真っ先に否定的な声明を出した、Mark Cuban氏などは考えを少し改めたようで(とはいっても過激なほうに)
大手メディアがスグにGooTubeを訴えることはせずに、まず、資金力の弱いYouTubeもどきの動画共有サイトを訴えて、YouTubeが合法であるというよりどころになっているDigital Millennium Copyright Actを無効にしてから、GooTubeを訴えるのではないかなどと、このビジネス予想ゲームを楽しんでいます。
Cubanがいうように、今までに無かった大手メディアと新興メディアの駆け引き合戦を、多くの人がFantasy sportsを楽しむように、Fantasy Businessとして予想するのはとても楽しいです。
また外れて恥をかくのでは無いかという心配はあるのですが、思い切ってこの交渉の行く末を予想してみます(笑)!
僕は、大手メディア企業は既にYouTubeと提携することを決めているのではないかと思います。その中で、いかにいい条件をGoogleから引き出すのかというのが今回のブラフ&交渉の目的で、訴訟に持ち込んで収益の機会を失うような愚は犯さないと思います。
大手メディア企業は自分たちの保有するコンテンツを流通させることができる窓口を増やすたびにその収益を拡大してきました。GooTubeが流通させようとしているコンテンツは、大手メディアが今まで収益化させることが出来なかったコンテンツです。もしこれらのコンテンツをGooTubeが上手く収益化させることができると、その恩恵を真っ先に受けるのは大手メディア企業です。
彼らが自分たちのコンテンツを独占して、自分たちのサイトからだけで観賞できる様にした方が良いと考えるのであれば、彼らはitunesと提携することは絶対に無かったでしょうし、AmazonやWalmartなどでのダウンロード販売にも応じなかったと思います。
コンテンツ保有企業はウインドウが増えるたびに収益を拡大できる
大手メディア企業は、今までの歴史の中でこのことを完全に理解してきている思います。
なので僕は今回のポイントはGooTubeと大手メディアのどちらが訴訟で勝つかというのがポイントではなく、GooTubeと大手メディアがどの様な条件で提携するのかというのがポイントなのではないかと思います。
アメリカにおいて、大手メディアがネットでのコンテンツ流通を自分たちで独占するのか、上手くネット企業とパートナーを組むことを選ぶのかという問いは、スティーブ・ジョブスが音楽業界を説得してitunesをはじめた時に答えは既に出たのかもしれません。
追記:
47thさんのブログで今回の訴訟のリスクに関して詳しく説明がされていました。
有限責任と「親」の責任:47th
磯崎さんのブログでは買収スキームの説明がされていました。
GoogleのYouTube買収と有限責任性:isologue
お二方ともさすがの分析です。