Vol.19 「支店対抗野球大会」 | ノムラ證券残酷物語

Vol.19 「支店対抗野球大会」

ノムラの支店間の競争は、「手数料」競争だけではありませんでした。入社早々の4月の最初の土曜日、当時は第二土曜日以外はまだ半ドン出勤で土曜日は何となく落ち着いた雰囲気がありましたが、前場だけ飛込みに出かけて、11時半に戻り整理をしていると、Y田課長の更にその上に各課全体を統括するS田次長が声を掛けてきました。


「おい、新人!こっちへ来い!今から地下の駐車場に全員集合してキャッチボールをやるぞ!来週から首都圏支店対抗野球大会があるから、虎ノ門支店としては何がなんでも絶対に優勝しなければならない!我々は昨年も優勝している!去年までは一ツ橋野球部出身の55年のN島が居たから優勝できたが、留学で転勤してしまった。人事部には野球の上手い奴を寄こせって言っといたんだが、K村!お前野球部だったなぁ~!」って…「俺は、野球で配属されたのかぁ~~??」って感じでした。と言うより、この会社は、どんなことでも競争意識が高く、支店同士のライバル意識は相当のものでした。


地下の駐車場に行くと、56年のO森さんやO前さん、57年のMさんなどがワイシャツ姿でキャッチボールをしており、どう見てもただの草野球のレベルだなぁ~って…「まっ!良いかぁ~~」って…


同期のT中は応援団の団長だっただけで、子供の頃少年野球をしていたとS田次長にアピールしてキャッチボールを始めましたが、2~3球投げて直ぐに「お前は良い!」ってお払い箱で…N野もラクビー出身ですからこれも大したことなく「次!」って感じで、私は野球は少年野球から大学までやってましたので、この程度のことであれば素人の域は少し出ているでしょうから…数球投げると、直ぐにキャッチボールの相手のO森さんを座らせて、「K村!ピッチングのつもりで!全力で!」って…


当然「K村!お前、全試合先発完投だ!」って…そんなぁ~~もう野球なんか嫌で仕方が無いから大学野球も途中で辞めたのにぃ~~~って思ってたら「K村!気合入れていけよ!万一一回戦で負けようもんなら、お前の机は無いつまり地方の支店に転勤だぁ~~!」って、??「そんなばかなぁ~~??」って、この会社の怖さはこれがマジなのか冗談なのかどうか?どう見ても真面目に言っているとしか思えませんでした。(続く)