Vol.17 「スーパーセールスマン(1)」 | ノムラ證券残酷物語

Vol.17 「スーパーセールスマン(1)」

新人は、6月末の証券外務員資格試験が終了するまでは、ほとんど日中飛込み営業が終り片付けが終わると、過酷なノルマに追われる諸先輩を残して「帰って勉強しろよ!」って掛け声のもとほとんど毎日7時過ぎには寮に帰宅しました。寮に帰宅し、夕食を食堂で温めて食べ、ビールを飲んで、早く帰っているのは他の始点の同期も含めた新人だけですから、同期と社会人としての厳しさを互いに励ましあいながら、時には飲みながら過ごしたり、実際に外務員試験のテキストを開いたまま疲れて寝ちゃったり…と。


他の支店の新人もだいたい似たり寄ったりで、4月から6月の間に3日間程度集合研修が数回あったと記憶していますが、同期が一同に会した時はまたそれはそれで他の支店の同期はどんな感じだとか興味深々に、支店によって少しずつ違う新人教育の現場の様子を話し合い、身近な競争相手を探り…少しばかりですが社会人としての意識が芽生えたりしていたような気がします。


証券外務員試験の直前の集合研修で、同期155人の中で群を抜いてツワモノが一人いる事が判明しました。仙台支店に配属されたI村で、彼はその後の活躍も含めて、恐らく私の知る上下数年の先輩/後輩の中でも、そして「ツワモノ」揃いのノムラ證券の中でも、超大物バケモノの部類に属するスーパー営業マンでした。


彼は実は私と同じ大学から入社した2流私立大出身の大学時代はサーフィンばかりやっていた人間ですが、入社する前に学生生活を謳歌したこのままではろくな就職口も無いと考え、必死にアルバイトで貯めた40万円近い大金を富士山麓で、今でも有名な自己啓発の「管理者養成学校地獄の特訓13日間」に大学時代に経験があり、入社面接の最後の方に、人事部面接で応接セットのテーブルに靴を脱いで立ち上がり「セールスカラス」の歌を歌って入社を決めたとか…とにかく内定式の時から同じ大学出身者は私と彼しかいなかったので、何故かとても記憶に残っている奴でした。(続く)