Vol.11 「ノムラマンのドレスコード(2)」 | ノムラ證券残酷物語

Vol.11 「ノムラマンのドレスコード(2)」

また夏に、同期のN野が半袖のシャツを着て、その上にスーツを着てきたところ、またもやデブで汗臭いY田課長に「N野ぉ~お前その半袖は何だ!半袖なんか『信用金庫』のお兄ちゃんじゃねぇんだ!会社では腕まくって、外では長袖のシャツにスーツが基本なんだぁ~」って…その日からN野も半袖のシャツは着なくなりました。


ちなみに、冬になり、私が学生の頃に作ったスーツで、お気に入りのスリーピースを着ていったところ、またもやY田課長のお目に止まって呼びつけられました。「K村ぁ~お前、お洒落やなぁ~そのチョッキ(ベ、ベ、ベストなんですがぁ~)!格好付けてんじゃねぇぞ!ベストは厳禁じゃ!10年早いわ!」って…でも、先輩社員で、よくスリーピースのスーツを来ていた人(お洒落なH田主任インストラクターもそうでしたが)も居たのですが、新人には10年早すぎだようでって・・・ただ、本当の理由は、Y田課長様が太ってお腹がせり出してベストを着れないために、意地悪していただけだったのですが…


昨日書いた「丹頂チック?」って何?って思った方も多いと思いますが、今の「マンダム」という化粧品メーカーの有名な商品です。古くからある代表的な整髪料で、チックと言えば(当時は他にヘアリキッドくらいしか無く、ムースもジェルも無かったですね…)、同期のT中も、元硬派で、学生時代に応援団団長の面影は見せず、サラサラの髪を直ぐにかき上げる癖があったのですが、入社早々にY田課長様のお目にとまって「T中ぁ~お前そのサラサラの髪の毛はいかん~!初任給で丹頂チック100本買って来い!それで頭はいつもカチッと固めて出社しろ!お前らが普段会う社長や部長クラスの人には、お前らくらいの年齢の息子が居たりするんだ!その息子と同じように若者っぽい格好なんかしてたら、信用されないだろうぉ~『おう、さすがノムラの若手はキチッとしてるなぁ~~」って感心されたりしねぇだろうぅ~~だから、その辺の若者っぽい?格好は駄目だ!分かったな!」って、ボタンダウンと同じ理由を並べて、その日から我々3人は、頭には必ずベトベトした油がのっており…イケてないサラリーマン姿に成り下がりました。


夏の飛込み外交は、暑さとの戦いで辛かった思い出だけでした。夏になると、汗だくでスーツのズボンの太ももの部分から膝にかけてがマジで「塩吹いて…」、ひざの部分が破けるということまで起ることもあり、やはりY田課長のアドバイスで、飛込み専門の新人は「ステテコ」を買ってきて下に着用!という、それは超~イケてない格好と成り果てました。そうでもしないと本当にあっという間にスーツがボロボロになったのです。


筆者は、当時付き合い始めていた支店の2つ年上の先輩女子社員の彼女と、今日こそ初めて合体!だぁって意気込んで、会社の帰りにデートで、新橋の居酒屋で一緒に飲んでいた時に、トイレに行ってステテコはいているのに気が付き、居酒屋のトイレでスーツのズボンを脱いで、魔法の「ステテコ」を脱ぎ捨て、トイレの脇にあったゴミ箱に捨て、その後ホテルで無事に事を成す寸前に、格好悪い思いをせずにホッと胸をなでおろした事を今でも鮮明に覚えています…多分、新橋の天狗だったかな?と思います。天狗さん、トイレにステテコ捨ててごめんなさい。…(この章終り)