Vol. 5 「数字が人格!?」そして「現引き?」 | ノムラ證券残酷物語

Vol. 5 「数字が人格!?」そして「現引き?」

ブースに通された(監禁された)我々3人は、H田主任からの第一声にまず圧倒されました。


「まず、君達に言っておく!野村のモットーは何か!これを頭に入れて過ごして欲しい!それは何か!って『数字は人格だ!』ということだからな!」「残した成績が全てだ!能書きも、屁理屈も何も無い!営業成績の数字が全てだから!これを頭に叩き込んでおくことだ」


「それと社内の女の子には絶対に手を出さない!」「50m四方の女に手を出したら、現引きだからな!」「現引き!分かったか!」って…「現引き」…って何?「数字が人格」よりも何か恐ろしい響きの言葉でした。


「現引き」とは信用取引で通常6ヶ月の期日の来る前に反対売買をして手仕舞うか、それとも「買い建て」の玉の場合、売買代金全額と金利と手数料を払って、現物を引取ることを言いますが…そんな意味なんか全く分かりませんでした。ただ、若い元気な若者には、とても鮮烈で「甘味」な響きのする印象的な言葉でした。


そんなオリエンテーションの中、女子社員の先輩がブースに3人分の名刺と営業用のカバンを持ってきてくれました。H田主任が「ほら!お前らの名刺だぞ!」って渡された名刺は2箱200枚分の真新しい名刺でした。「そうかこれで僕達も社会人の一員なんだ!」って誰だって社会人になって初めて名刺を手にした時は興奮しますよね。私もそうでした。でも次の一言で「???」って思ったのは他の3人も一緒だと思います。


「お前らの手元のその名刺2箱は、お前らの1~2日分の名刺だ!」「足りなくなったら、いつでも営業補助の彼女に頼め!F田さん(営業補助の先輩女子社員)、彼らが足りなくなってもいつでも直ぐ補充できるように、取りあえず2000枚単位(20箱!)で刷っておいてね!」って・・・2000枚!単位・・・「ちょうどいいや、皆、先輩は、場があって忙しいから、今から近所の会社に飛び込み外交に行ってくれ!」って・・・入社2日目だったんですが…飛び込みって…何?(続く)