神は愛なり | くにおDiary

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長崎のアイドルヲタクがダラダラと綴るブログです

下野さんが出演した舞台「嫌われ松子の一生」を観てきました。

チケットは夜公演のプレミアム席。最前です。

 

 

活字の本を読む習慣がなかった僕にとって「嫌われ松子の一生」というお話は、名前は聞いたことがあるけれどストーリーはまったくの初見でした。


でも、さすがに何にも知らずに観ると理解が追いつかないと思い、会場に着くまでの時間を使って、Wikipediaであらすじだけざっと目を通します。

 

 

会場に到着すると、ちょうど昼公演が終わったようでぞろぞろと人が出てきていました。そしてタイミングよく出てきた親戚の皆さんと合流し、夜公演に向けてネタバレを喰らわない程度にいろいろとご教示頂きます。

 

 

開演時刻が近づき、いよいよ会場へ入場。

 

場内は広くはない分、舞台と客席の距離は目と鼻の先。これは迫力がありそう。

さらに舞台の前部には謎の水槽。これが演出のカギとなることはこの時はまだ知りませんでした。

 

 

するとドタバタと松子の生徒役の演者の方が出てきて、開演前の注意事項をアナウンス。なんと劇中に客席まで液体が飛んでくるとのこと。それを足元のビニールを使って防御しないといけないらしい。大丈夫かな……

 

 

BGMのボリュームがグッと上がり、場内も暗転。

およそ2時間にわたるステージが始まりました。

 

 

「川尻松子」という人間のおよそ50年の壮絶な一生に加え、その周りの人物との関わりまでをたった2時間の舞台に詰め込んでいたので、怒濤のように展開が変わっていきました。

混乱しそうになりながらも、過去と現在を見事に演じ分ける俳優の方々のさすがの演技力のおかげで、最後までちゃんとついて行くことができました。

 

松子の人生は、最初は笑顔ばかりの明るい雰囲気だったのに、事件をきっかけに段々と展開は悪い方向へ。途中からはもう救いようもないくらいのまさに転落人生。

 

それでも人を信じ、愛し続けて何とか幸せを掴もうともがくものの、ことごとく裏切られ続け、家族からも見捨てられ、不幸のスパイラルから一向に抜け出せず、最期には疑心暗鬼となって死に際まで不幸なまま一生を終えるという、壮絶という言葉ですら霞んでしまうような波乱に満ちた一生だったのでした。
 

そんな感じに全体を通して暗い雰囲気のストーリーだったのですが、間にコメディ要素がちょこちょこあって緩和されていました。まぁそれでも後半はコメディなんて余裕はないくらい、もう目を覆いたくなるほどの不幸の連続で、心が痛い痛い。
 

2時間という時間はあっという間にものすごい勢いで過ぎ去り、まさに一瞬も見逃せない、聞き逃せない、集中しっぱなしの時間でした。

 

 

広山詞葉さんが演じたそんな「川尻松子」は、まさに「松子」自身がそこに存在しているかのように錯覚するほど。


冒頭のきらびやかな笑顔の溢れる楽しげな雰囲気から、物語が進むにつれて、だんだんと心が荒んでいく心情の変化。


気迫溢れる演技に圧倒されました。


喜怒哀楽の変化の付け方が本当にリアルで凄味があり、感情の揺さぶりを全部持っていかれた、そんな感じでした。

 

 

新納直さんが演じた「川尻笙」のクライマックスでの魂の叫び。


冒頭ではほとんど関心が無かった松子の人生を知った笙が最後には一変。


いったい愛とは何なのか、ずぶ濡れになりながらその答えの見えない問いに対して真っ向から立ち向かうその姿は、一瞬たりとも目を離すことができませんでした。

 

 

そして「渡辺明日香」を演じた下野さん。

 

下野さんが卒業したあとの舞台仕事は何度か観てきましたが、今回のような演劇作品は初めてだったので、ダンスや歌よりも演技に全振りする下野さんの姿は、また一つ新鮮なものでした。

 

神を信じるまっすぐな心と夢に向かって再出発をはかる、松子とは対照的な輝かしい未来を期待させるような姿はとてもキラキラしていて、ダークな重たい雰囲気の中に癒しを提供してくれました。

 

また演技と同じくらいに、ダンスシーンでも多彩なジャンルのダンスを披露してくれて、そのキレキレさはさすがは過去の賜物。


女優として確実にステップアップしつつも、ダンスのスキルも昔と比べてまったく見劣りしない、素晴らしいものでした。

 

 

演者のリレーブログで「松子を任せてもらえるくらいの女優になりたい」と下野さんは語っています。

松子との出会いが明日香にとって人生のターニングポイントとなったように、今回の舞台が下野さんにとっても人生の大きなキーポイントになったようで、今後の下野さんも、明日香のように、輝かしい未来に期待が膨らむ舞台でした。

 

 

 

今回の舞台は、僕の人生においてもとても素晴らしい出会いでした。

すごく貴重な体験をありがとうございました。