運命を感じながらもそれを認めず、
他の女をとっかえひっかえするピアニスト。
とっかえひっかえされた側に立つと、「マジかこのクソ男」と思っちゃって(笑)。
「振り回してんじゃねぇよ、いい迷惑だよ」と思いつつ、
きっと吾郎さんのことだから、そこは大人のお付き合いで、
相手の女性たちも強者揃いで、後腐れ無いんだろうなとか思ったり(笑)。
世間が思い描く稲垣吾郎のイメージそのものの作品だなって思いました。
「美しい」に反応する吾郎さんには笑ったけど(笑)。スクリーンの中でもそうなのかって。
自分に釣り合うかどうかじゃなくて、ずっと一緒にいたいと思うかどうか。
忘れられないくらいの運命の恋。
2人のピアノセッションがすごく良かったです。
山内監督はどストレートにきたなぁと思いました。
自分の大事な歌が、もう歌えない。それがどれだけ心引き裂かれる事なのか。
「他の歌があるからいい」じゃないんだよなって。今までずっと歌ってきて、自分の一部だったんじゃないかって。
香取さんのシーンはどこか感情や思いを心の内に抱え込んでいるように見えて、古館さんのシーンはとても直接的な感情のぶつかり、叫びを感じました。演じているのは古館さんだけど、香取さんの叫びでもあるんだろうなと。
だからこそ、歌喰いがとても重要になっていて、歌喰いの存在が香取さんを解放に導いてくれたんだろうなって。
心の叫び、思いを前に進めてくれたんじゃないかと。
香取さんに限らず、私自身も救われたんだなって、そう思います。
至る所に遊びを忘れないところがさすが芸人さん、さすが太田さんだなって思いました。
ツボもしっかり押さえてたし、面白かった。
だけど、一番繊細で感情表現が豊かだったのもこの作品かなぁと。
クソ不器用だけど、とっても家族を愛してる。そんな愛で溢れた作品でした。
清く正しく美しく――そんなふうに生きている人間なんてこの世にいるんだろうか。
どこかでつまづいたり、転んだり、我儘に、破天荒に、そうやって人はみんな生きてるんだろうなって。
そう考えたら、この世界はクソ野郎ばっかりだなって(笑)。
だけどそんなクソ野郎どもを愛して生きていくことが、自分を愛して生きていくことにも繋がるのかなって、そう感じました。
噛み締めれば噛み締めるほどいい映画だなって思います。
「CLUB KUSO UNIVERSE」。一度でいいから行ってみたい。