乾物が栄養を増すように、心も一度乾ききった方が豊かな味になるのかもしれない。

誰かとともに生きたいと思っているのに、心がなぜかためらっている。
現実と空想の狭間で私はしゃがみこんでしまっているみたい。
一歩踏み出すこと、知らない世界へ行こうとすることへの一種の不安のようなものだろうと一言で片付けられてしまうような、そんなことだけど、当人はとても困惑して、胃が痛い。 

よく人は、自分を許せば他人も許せるとか言うけれど、本当にそれだけなんだろうか。
私の中に今あるためらいや体の不調はそれを越えて本能的な何かであるように思えてしかたない。
だから、気を揉むのをやめて、
考えるのをやめよう。

OK、大丈夫、ありがとう。

心と体は繋がっているようで、やっぱり別物なんだと思う。胃がキリキリと痛むのは心と連動しているからで、だけど、私はそれを望んでいない。
とりとめのないことをぐるぐると考えて疲れは果てて、ぷつんと糸が切れる。

呼吸をしよう。
ちゃんと、息を吐こう。
大丈夫、そのうちまた流れはじめる。

「薬屋のタバサ」
素性の知れない世界は存在しているのかさえ危うい。そんな世界は、だけど人々の影を濃くしてゆく。
よく分からないから浮き立つ人々はそれでいて柔らかい。
知っているようで知らない、見えているのに見えていないような世界は、何だか今のこの世界みたいで 、そんな世界を体現している作品ようにも感じた。