先日は、誉田哲也の「主よ、永遠の休息を」を紹介したけど、今回は「ストロベリーナイト」。

 

 小出恵介の一件で、俺の中で誉田哲也が再ブレイク中。

 

 小出恵介→姫川玲子シリーズ葉山役→誉田哲也再ブレイクってことね。

 

 さて、「ストロベリーナイト」と冠するTVドラマと映画があるけれど、本作、誉田哲也著「ストロベリーナイト」を原作とするのは、フジテレビ系土曜プレミアム「ストロベリーナイト」という単発のスペシャルドラマが相当する。

 

 竹内結子扮する姫川玲子主任率いる警視庁刑事部捜査第一課殺人犯捜査10係姫川班が難事件に当たるというのが基本的なストーリーなんだけど。

 

 誉田哲也は映画「リング」の松嶋菜々子をモデルに姫川玲子を作り上げたそうだ。

 

 誉田哲也は小説を書くときにExcelに顔写真入りのキャラクターシートを作ってイメージを膨らませるんだけど、後年、彼の中で松嶋菜々子は消えて竹内結子=姫川玲子になっちゃったようだ。

 

 こないだInstagramで竹内結子が髪の毛バッサリの写真を上げてたけど。

 

 可愛いんだけど、これでまた、姫川玲子の新作は遠のいたね。

 姫川後、バッサリいくのは2回目だと思うけどね。

 そういえば、映画「リング」で最初に死ぬのは竹内結子だったね。

 

 小出の件もあるし、基本的に姫川玲子シリーズは映像化しにくいグロさがあるので、新作は望み薄かな。

 

 かと言って、テレビ朝日スタイルでやられると「ジウ」のようなどうしようもない作品に仕上がってしまうし。やはり映画かな。R18でやらないと表現できないだろうけど。

 原作の世界観が壊れなければ、忠実である必要なないとは思うけど。

 

 で、ストロベリーナイトだよ。

 

 これね、読んでから観るか、観てから読むかで、大分、原作の評価は変わると思う。

 

 はっきり言って、土曜プレミアム「ストロベリーナイト」と原作では、各キャラの印象がかなりズレる。

 

 そうだよね、誉田哲也は松嶋菜々子で姫川玲子書いてるわけだから、竹内結子とは違うわな。

 竹内結子も姫川を2年くらいやったんで、もう今では姫川=竹内結子のイメージが刷り込まれちゃってる。

 

 前に読んだ時は、そんなに感じなかったんだけど、今回、再度読んだら、違和感がすごい。

 映像版の姫川の自分を追い込む感じや苦悩が原作では伝わってこないんだよね。

 

 ガンテツに「まだ怖いのか」って暑い真夏の夜の公園のことを仄めかされると、原作では姫川は失神しちゃう。

 失神しちゃうんだけど、回復した時、根拠のない自信で、さらりと次にいっちゃうんだよね。

 

 菊田も繊細さはまるでない。多分、無骨な筋肉系の俳優の写真が誉田哲也のExcelのキャラクターシートにあったんじゃないかな。

 西島秀俊とはちょっと違う。

 

 そんな風に、観た後に読むと、違和感満載の小説になっちゃうんで、もう俺にはこの小説を正当に評価ができない。

 

 パトリシア・コーンウェルが検屍官シリーズの映像化を極力控えてきたのは賢明だったね。

 

 あとね。誉田哲也の法律用語の誤用が、このシリーズでは結構、気になるんだよね。

 このストロベリーナイトでも、

 「善意の第三者」って法律用語を遣ってるんだけど、

 法律用語の「善意」には道徳的な意味はないからね。

 これは、単にあることを「知っている第三者」という意味なんだけど、

 誉田哲也は文脈から、あの人はいい人さんだって意味で遣っちゃってるんだよね。

 

 ここは法律家の俺としては気になってしょうがない。

 

 キャクターの中で、イメージが一致するのは生瀬勝久演じる井岡巡査長なんだけど、姫川との関係性で、ここでも違和感を感じてしまう。

 原作では姫川は、井岡を「井岡くん」と呼んでいるんだよね。

 

 怪しい関西弁を喋る井岡巡査長で、姫川は「井岡くん」と呼んでいて、

 井岡の行動を呆れながら笑って見てるという風なイメージ。

 

 このイメージとは違うよね。井岡は呼び捨てで、基本的には、存在してると安心感がありながらも、本気で嫌がっている感じだもんね。竹内姫川は。

 

 だから観た後ではダメなんだよね、この作品は。

 

 それから、深沢由香里のモノローグが章の冒頭に入ることが多いんだけど、ここは説明調で、ちょっと技巧に走ってる感が否めない。

 これはなくていいんじゃないか。

 

 このパターン、誉田哲也では多いんだけど、これはいらないと思う。

 

 重度の精神疾患であるはずの深沢由香里が、明確な自己分析と状況分析をしちゃってることになるから、この小説のプロットをブチ壊していると言ってもいんじゃないかな。

 モノローグで語られることは狂言回しが語ればいいんじゃないかな。

 捜査するなり診察するなりって形で知れた方がいいような気がする。

 

 でも、結局、もう俺は、観た後。

それも一時期ヘビロテで何度も観てたので、到底、正当な評価はできないわけだが……。

 

 誉田作品として、前回の「主よ、永遠の休息を」を基準にして5段階評価をしてみよう。

 

「主よ、永遠の休息を」★★★☆☆

「ストロベリーナイト」★★☆☆☆

 

星2つですな。