北海道にはいつから旧統一教会の施設があったのか?
施設は教団が所有するものなのか?それとも建物や部屋を誰かから借りているのか?
貸しているのは誰なのか?
誰もが思いつくような単純な疑問だが、桜井義秀氏による天地正教の研究はあるものの、旧統一教会そのものの道内施設の変遷についてはあまり聞いたことがないので調べてみた。
世界平和統一家庭連合の公式HPには、道内の家庭教会一覧が掲載されている。
それぞれの状況をできるだけ詳しく見ていきたい。
①札幌家庭教会 札幌市北区屯田5条9丁目1-36
札幌家庭教会のHPによると、教会が屯田に移転してきたのは2007年のこと。
登記によると、土地と建物の所有者の変遷は以下のとおり。
・2006年2月10日 株式会社澤木工業⇒株式会社やすらぎ
原因:担保不動産競売による売却
・2007年5月25日 株式会社やすらぎ⇒世界基督教統一神霊協会
原因:売買
澤木工業は土木建築工事の会社でここの建物を本社としていたが、経営が悪化し2004年に民事再生法を申請。
事業は澤木テックという新会社に引き継がれ、土地と建物は競売にかけられた。
土地を取得したのは、群馬県桐生市に本社を置く不動産業者のやすらぎ。中古住宅再生事業をウリにする会社で、その後カチタスに商号を変更している。
やすらぎに所有権が移って1年ほど経った2007年5月、土地と建物は統一教会に売却され、現在に至っている。
公安調査庁は2005年と2006年、「内外情勢の回顧と展望」という報告書で統一教会に言及し”特異集団”と呼んでいる。
”特異集団”の定義は、「社会通念とかけ離れた特異な主義・主張に基いて活動を行う集団」。
屯田地域にこのような団体の施設がいきなり現れたことになる。
2008年、大阪市阿倍野区に統一教会の施設ができた。
民間企業A社が大阪市から土地と建物を取得し、統一教会に貸し出し&売却したという。
その際、地域住民の反対運動がおこり、A社と統一教会は住民説明会を行っている。
A社は統一教会信者が経営する会社だったが、大阪市はそれを見抜けず、市を批判する声が多くあがった。
MBCの取材に対し、弁護士の加納雄二氏は「まさに霊感商法をやっている有害な団体であるから行政が取引するのはいかがなものかと。そういう企業に市の施設を売るのは倫理的・道義的に問題があるのではないかといって当時も抗議しました」と話している。
さて、話は札幌家庭教会に戻る。
統一教会は2007年5月に土地&建物を取得し、同年9月に札幌家庭教会をここに移転する。
教会設立にあたり住民の反発はなかったのだろうか。住民説明会は行われたのだろうか。
過去のニュースなどを調べてみてもそういった情報を見つけることはできなかった。
とはいえ、いきなり統一教会の施設ができて、屯田地域の住民の中には不安を感じる人も多かったのではないか。
やすらぎが名古屋証券取引所セントレックスに上場を果たしたのは2004年。
統一教会に土地&建物を売却したのはとの2006年なので、上場後に行われたものである。
しかも、謎の民間企業を介したものなどではなく、教団との直取引だ。
正体をわかったうえで販売している。
やすらぎはカチタスに名前を変え、ニトリホールディングスの持分法適用会社となり、現在は日本の実質最上位の東証プライムに上場している。
まったく話題になっていないが、前述の大阪市における加納弁護士のコメント同様、上場企業が教団と取引を行うのは倫理的・道議的に問題があるのではないか。
札幌ではアレフの教団施設周辺地域で反対運動が起きていたが、ひとたび拠点ができてしまうと長期に渡り住民の不安が続くことになる。
そういう意味で、販売側の責任は非常に重いのだ。







