参院選が近づいてきたが、前回2019年の選挙に関する興味深い話が報じられている。
奈良県の自民党候補者が、公示前、自民党の全県議の政治団体に一律30万円を寄付していたという。
この毎日新聞の記事でも言及されているが、前回の選挙では、京都府の自民党候補者から府連を通じて府議や市議に金が渡っていたことも問題となった。
さて、これは奈良県や京都府特有の事情なのだろうか。
というわけで北海道の自民党候補の金の流れも調べてみた。
2019参院選の北海道選挙区における自民党候補者は新人2人。
前北海道知事の高橋はるみ氏と前道議の岩本剛人氏で、2人とも当選した。
公示日は7/4、投票日は7/21だった。
知事を4期務め道内で圧倒的な知名度を誇る高橋氏は、選挙前から当選確実とみられていた。
政治資金収支報告書を確認したところ、高橋氏個人や政党支部・政治団体から選挙前に自由民主党北海道支部連合会(以下、道連)に金が支払われた形跡はない。
ただ自由民主党札幌市支部連合会(以下、札連)に対しては、6/19に高橋氏の政党支部から交付金として280万円が支払われている。
一方の岩本氏は、道議5期を務めていたものの知名度は決して高いと言えず、油断できない状況だった。
こちらも政治資金収支報告書を確認したところ、岩本氏の政党支部から交付金として6/5に道連へ1060万円、5/31に札連へ520万円、6/12に250万円が支払われている。
以上、公示前に候補者から道連と札連へ多額の金が支払われていたことが確認できた。
さて、道連と札連はこの金をどう使ったのか。
気になるところだが、札連については収支報告書がインターネットで公開されていないため、今回は道連だけを見ていく。
道連の政治資金収支報告書を確認してみると、6/4-7/2にかけて、53人の自民党道議全員(個人・政党支部・政治団体のいずれか)に活動助成目的の政治活動費として一律50万円が支給されていた。(幹事長の八田盛茂氏だけは、個人と政党支部合わせて401万円が支給されている)
政党支部への支給についてはその目的も収支報告書に記載されているのが、そこにははっきり「選挙関係費」と記載されている。
奇しくも京都府連と同じ50万円という金額が、選挙前に道議全員に支払われていたことになる。
しかも堂々と選挙関係費と書かれており、明らかに選挙のための金だ。
改めて金の流れを整理してみる。
岩本氏政党支部⇒道連 1060万円
道連⇒53道議 3001万円(50万円×52道議+八田氏401万円)
道連から選挙前に道議に金がばら撒かれていたことは間違いないのだが、総額は3001万円にのぼっており、岩本氏からの金だけでは2000万円ほど足りない。
ん?ちょっと待った。見落としている部分があった。
道議に渡った50万円を、もう少し詳しく見ていこう。
50万円は道連から一括で渡ったわけではなく、以下のように3回に分かれて(八田氏だけ4回)支給されている。
神戸典臣 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
和田敬友 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
髙橋文明 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
川尻秀之 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
伊藤条一 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
本間勲 政治団体6/4 10万円 事務所6/6 20万円・7/2 20万円
喜多龍一 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
竹内英順 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
大谷亨 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
遠藤連 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
角谷隆司 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
中司哲雄 政治団体6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
小畑保則 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
村田憲俊 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
千葉英守 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
藤沢澄雄 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
吉田正人 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
東国幹 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
佐々木俊雄 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
松浦宗信 政治団体6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
八田盛茂 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円 個人7/2 100万円・7/19 271万6000円
冨原亮 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
花崎勝 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
梅尾要一 政治団体6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
中野秀敏 政治団体6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
笠井龍司 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
村木中 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
吉田祐樹 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
三好雅 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
𠮷川隆雅 政治団体6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
佐藤禎洋 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
内田尊之 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
桐木茂雄 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
船橋賢二 政治団体6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
道見泰憲 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
千葉英也 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
丸岩浩二 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
大越農子 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
安住太伸 政治団体6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
清水拓也 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
久保秋雄太 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
加藤貴弘 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
宮下准一 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
檜垣尚子 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
植村真美 政党支部6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
佐々木大介 政治団体6/4 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
田中芳憲 政治団体6/5 10万円・6/20 20万円・7/2 20万円
浅野貴博 政治団体6/5 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
太田憲之 政治団体6/5 10万円・6/20 20万円・7/2 20万円
渡邊靖司 政治団体6/5 10万円・6/14 20万円・7/2 20万円
星克明 政治団体6/5 10万円・6/7 20万円・7/2 20万円
村田光成 政治団体6/5 10万円・6/6 20万円・7/2 20万円
滝口直人 政治団体6/7 10万円・6/14 20万円・7/2 20万円
6/6-6/14にかけて道議に一律20万円が支給されている。
自民党道議の人数は53人。
53人×20万円=1060万円となり、岩本氏の政治団体が6/5に道連へ支払った金額とぴったり一致する。
中途半端な金額であることもこれで合点がいく。
道議に渡った50万円中、少なくとも20万円分については、岩本氏から道連を通じて道議に渡されたものである可能性が十分ある。
京都府連と極めて似た構図だ。
他に不審な金の流れは見つけられず、残る30万円についてはどれが原資に当たるのかわからなかった。
同じ候補者でも、高橋氏から道連へ支出した形跡はなく、岩本氏からだけだったことも興味深い。
今回は2019年の参院選のみ見てきたが、他の選挙についても調べてみようと思う。


