最近は大分沈静化して来たと思いますが、一時、香港で銀行口座を開設するのが日本人の中で流行致しました。それは元々はお金持ちの方々が海外の口座に資金を移すことにより資産隠しを目的とした口座開設が主でした。
 現在、沈静化したのは海外口座の資産も申告する義務が生じたのと2019年9月に2016年12月末の口座残高が1億円以下の全ての個人口座についてCRS(共通報告基準)への参加国はお互いに口座情報を交換する旨が決定した事により、この手口による資産フライトが出来なくなるからです。
 とは言う物の、国税がこのような手口を考える旅にそれを逃れる手口を考える人はいるものでして、現在は海外法人口座を利用した資産隠しやCRSに参加していない国への資産フライトが現在は主流となっています。
 これが香港での銀行口座の開設が減った理由なのですが、それでも銀行口座を持っているととても便利な事はあります。

 一時、香港での口座開設は出来なくなったと言う噂は出回りましたが、そんな事はありません。現在も引き続き現地で口座開設は可能です。但し、法人口座の開設はかなり難しくなっています。なので個人口座に限定して今回は説明いたします。

 今回はHSBCに限定してお話しを致します。

まず、何故HSBCに口座を持つのか?
メリット
・全世界的な銀行であり、数多くの国の空港にATMがある
 →格安の為替レートで引き出しが出来る
・マルチカレンシー口座である
・ジョイントアカウント(共同名義口座)
  →相続時等有利
・種別によっては無料でクレジットカードが持てる

等々があります。

特にジョイントアカウントは日本ではないので是非活用すると良いかと思います。例えば、日本で口座名義人に不幸があった場合、すぐに口座がロックされてしまいます。しかしながら、HSBCではこのジョイントアカウントにしておけばそのような事はありません。家長に不幸があって葬式代の引き出しも出来ないと言う事ありますが日本では起こりますが、この口座にお金を入れておけばそのような事はありません。これは便利!

そして、基本的に香港ドルで預金を持っておくと言うのは資産分散として非常に有利であると思います。特に香港ドルは一応変動相場制をとってはいるのですが、米ドルに対しての変動幅が制限されており、大きく乱高下する事は米ドルに対しては有りません。つまりは米ドルでの預金をしているのと実質大きくは変わらないと言えます。これは資産管理という意味では非常にメリットのある事だと思います。

次にHSBCでの口座開設時に必要な書類です。
・パスポート
・国際運転免許証(有効な物)

以前は書類もいい加減な感じだったのですが、現在はこの有効期限が有効である国際運転免許証がないと開設は難しいです。

 これらの書類を持って窓口に行けばあとは簡単な英語での聞き取りがあります。要は何の目的で銀行口座を開設したいのか?と言った類の事を聞かれます。目的は例えば「香港に旅行等で良く来るので銀行口座があった方が便利なので」とかで大丈夫です。
“ I often come to HK ,so if I can open the account in your bank , it’s very useful. ”
位で良いのではないでしょうか。

次にアカウントの種別ですがHSBCには3種類のアカウントがあります。
・Premier
・Advance
・Personal Integrated

それぞれの違いですが、

               預金平均残高    口座維持手数料    ATM利用限度額    クレジットカード
Premier    1,000,000HKD          380HKD              40,000HKD                〇
Advance     200,000HKD          120HKD              30,000HKD                 〇
Personal       5,000HKD             60HKD              20,000HKD                ×

となっています。
ここで出ている項目ですが、


預金平均残高:前3か月の平均預金残高の最低額を示しています。預金平均残高が表示さ                       れている額以下になると口座維持手数料がかかります。
口座維持手数料:預金平均座高が最低額を切るとかかる手数料月額です。毎月、預金残                             高 から自動的に引かれます。
ATM利用限度額:1日当たりのATMでの引き出し限度額です。窓口に行けばこの限度額は                          適用されず、引き出しが出来ます。
クレジットカード:無料でクレジットカードを作れるか否かです。

 ここで注意しないとならないのは預金平均残高が切っている時です。徐々に残高から毎月口座維持手数料が減算され、残高が0を切ってしまうと自動的に口座がクローズされ、以後、同名義で銀行口座を再開設するのは大変難しくなります。故に預金平均残高を放置していくのは要注意です。

 また、昨今は未使用口座に対する措置が非常にシビアでして、頻繁にインターネットバンキングで口座残高の照会をしたり、資金の出し入れをATM等行わないと口座が一時的に凍結され、この凍結を解除するには香港現地に本人が赴き、解除の申請をする必要があります。とても手間がかかるので、凍結しないように注意しましょう。少なくとも月に1回はインターネットバンキングにログインする必要があります。





 クレジットカードに関してはPersonal Integrated以外は発行する事ができます。PremierにはPremier Masterカードが、AdvanceにはAdvance Visa Platinumカードを発行する事が出来ます。このクレジットカードを発行すると便利な事は2点あります。


・香港の銀行口座で決済出来る事
・オクトパス(香港版のSUICAみたいな物)の代替として使え、そのまま地下鉄等に乗る事      が出来る
 

 1点目は正直、資産隠ししている人にしかあまり意味はないですね。。。あとは私みたいに頻繁に香港にいる場合は香港ドルでの決済になるので、為替手数料がかからないと言うメリットがある程度です。


 2点目に関しては便利だと思います。私はSmart Vantage(現在のPersonal Integrated)にしているのでクレジットカードを使った事がなく、その便利さを実感はしていないものの、確かに香港ではオクトパスは不可欠でこれがないと生活には不自由に感じるので、それがクレジットカードでそのままデビットのように使用できるのは本当に便利だと思います。
このオクトパスについてはまた機会があったらお話ししたいと思います。

いずれにせよ、香港HSBCに口座を作るのは現在ではまだ出来ますし、あったらあったで非常に便利なので、香港へ行く予定がありましたら予め国際免許証を取得して是非、口座開設をチャレンジしてみてください。