kan-haru blog 2010 八幡橋工事現場鋼桁梁上の水上写真展会場

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六郷用水開削400年
ブログの「大森町の昔を古地図で探る 大森村絵図」(「大森町界隈あれこれ 大森町の昔を古地図で探る 大森村絵図その1~4」参照)を見ると、明治初年頃の大森村は田んぼと畑で、大森・蒲田の低地部は米蔵です。これは徳川家康が江戸幕府の基盤充実を図るため、多摩川下流域の低地平野部の農地化を図り、六郷用水を引いて灌漑して田畑を開発したものです。
六郷用水は、江戸幕府が開かれる6年前の1597年(慶長2年)に、川崎側の二ヶ領用水(にかりょうようすい)と共に並行して測量・工事が始まり、2011年が六郷用水開削400年に当たります。江戸から東京に遷都して明治時代に入り、水田を潤す灌漑の六郷用水の利用は増加の一途を辿り、農業用水の最盛期は明治末期で、大森・蒲田では近世最大の生産施設でした。
六郷用水の工事を指揮した小泉次大夫(こいずみじだゆう)は、用水完成の功績により、蒲田の下袋村(したぶくろむら 現在の北糀谷)周辺の領地を賜りました。

 明治時代の大森・蒲田地区は一面の田んぼ

六郷用水ゆかりの昔の下袋村の北側の旧呑み川の対岸が、大森村です。現在の新呑み川は、子安八幡神社の南側に接して新設されており、そこに架設されている八幡橋の架け替え工事が開始されています。小泉次大夫の子孫の墓は、今も子安八幡神社裏側の廃寺となった円龍寺跡に残っており、神社にもゆかりの鳥居(現在移動して保存中)や扁額が伝えられています。
そこで、六郷用水完成400年を記念して、八幡橋の架け替え工事現場と子安八幡神社境内で、「下袋村と六郷用水」水上写真展が「六郷用水の会」と「大田区郷土博物館・水路の会」および五洋・永光・市石建設工事共同企業体などの共催で、7月26日から30日まで開催されましたので、30日に見に行きました。

 六郷用水完成400年写真展ポスター

「下袋村と六郷用水」写真展示会場
写真展示会場へは、京急バスの大森駅発羽田空港行き(森21)または蒲田発森が先行き(蒲36)に乗車して仲糀谷で下車し、産業通りを南下して呑み川沿いで右折して八幡橋の架け替え工事の現場には徒歩2分です。

 写真展示会場地図

産業道路から呑川北岸に沿って西に進むと八幡橋の架け替え工事現場です。既に古い橋は撤去され、基礎工事鋼鉄桁が造られており、八幡神社の大田区で最も古い鳥居は保護のため、取り除かれて保安場所に移動してあります。

 写真展開催の八幡橋工事現場と八幡神社(:八幡橋架け替え工事現場、:保全のため鳥居が外された八幡神社0730)

・子安八幡神社
子安八幡神社(大田区北糀谷 1-22-10)は、祭神は応神天皇で、1394年から1428年(応永年間)に、鎌倉八幡を勧請したのに始まるといわれています。新大田区百景に描かれている石造明神型の鳥居(区指定文化財)は、柱間21メートルで安永3年(1774年)に奉納されたもので、区内最古のものであります。最古の現物の鳥居を見ることができませんので、大田区百景に描かれている風景より雰囲気を掴んでみます。

 新大田区百景子安八幡神社 安西東作(大田区ホームページから)

子安八幡神社内の末社の諏訪社参道にある狛犬は、奉納が1911年(明治44年)であり、左右とも同一の阿像の先代の狛犬です。本殿の前の狛犬は、1963年(昭和38年)の昭和の狛犬です。

 子安八幡神社(:諏訪社[左]、末社と本殿、:八幡神社本殿)

・八幡神社境内展示写真
展示会の写真は、徳川家康の関東領国支配の先駆けとして、400年の歴史を秘める経済の礎となった灌漑水路の六郷用水の歴史的・今日的意義を伝えたいとの趣旨で、八幡神社境内と架け替え工事中の八幡橋上の防護フェンスの会場に、六郷用水の姿と用水跡の散策路を対比した、100枚以上の大型サイズの写真を屋外に展示してあります。

 八幡神社境内会場(写真拡大)

先ず、八幡神社境内展示写真から見ると、六郷用水の撮影ポイントの説明図と世田谷付近の大正・昭和時代の六郷用水の新旧対比写真が見られました。

 昭和・大正時代の世田谷付近の六郷用水(:六郷用水の撮影ポイント図、:世田谷等々力付近[昭和初期]、:世田谷鎌田付近[大正時代])

・八幡橋上の防護フェンス会場
防護フェンス会場は、呑川上の八幡橋架け替え工事現場の鋼桁梁の仮通行路で、クレーンが始動すると会場全体が振動するという環境で、今年は酷暑で日陰がありませんので普通では体験ができない屋外の会場でしたが、幸い30日には薄曇りで川風に吹かれてわりに涼しく見学ができました。

 八幡橋工事現場鋼桁梁上の水上写真展会場(写真拡大)

写真展示会場では、毎日午前11時と午後3時には説明者の三橋氏が資料を配布して、展示写真の説明を行っていました。丁度11時の説明の時間でしたので、写真を見ながら詳しい説明を聞くことにより、六郷用水の全般についての理解ができました。

 水上写真展会場で三橋氏の説明を聞く参加者(写真拡大)

防護フェンス会場では、蒲田周辺の六郷用水の新旧対比写真が見られました。なお、配布された資料は、六郷用水ミニノート 大田区立郷土博物館編集・製作2006年3月でした。

 各年代の六郷用水風景(:下丸子[昭和6年]、:稗田神社付近[明治42年]、:鵜の木1-5[昭和23年頃])

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