kan-haru blog 2007

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山王熊野神社
JR大森駅西口の池上通り右手の山王台地にある山王熊野神社(大田区山王3-43-11)は、今年は本祭りで8月31日から9月2日まで行われ、2日には池上通りの春日橋交差点からくらやみ坂下までを車両を通行止めして大神輿の渡御が行われました。2日には、お祭りパレードが15時過ぎから始まりましたので見てきました。


山王神社(地図参照)へは、大森駅西口の池上通りを5分ほど進むと、大森郵便局の対面に大きな「新井宿義民六人衆霊地参道」の常夜灯が建てられている四つ角を右に曲がると、突き当たりに、農民が父母の墓という名目で建てた義民六人衆の墓のある日蓮宗法光山善慶寺があります。

     善慶寺参道              新井宿義民六人衆説明板

善慶寺の裏山に当たる台地は、池上通り西北の八景坂(やけいさか)から馬込にかけて入り組んだ台地の地形が、ちょうど拳のようにはり出した形で善慶寺の先まで延びています。

                善慶寺             熊野神社参道は善慶寺境内から

山王神社のこんもりと茂った鎮守の森の池上参道は、この善慶寺の境内を通り裏手の石段を登った台地の上にあります。

                 鎮守の森の熊野神社参道

この台地を木原山とか陣屋山と呼ばれ、江戸時代には新井宿村という農村で、村の領主木原氏の陣屋と屋敷が置かれていました。木原山は、万葉集にも詠まれた荒藺ヶ崎の旧蹟とも伝えられております。
山王神社社伝によると、1615~24年(元和年間)に領主・木原木工允により屋敷内に建立されたと伝えられておりますが、幕府の大工頭をつとめた木原氏が担当した日光東照宮の余材で本殿を造営したのは、1636年(寛永13年)であるとも云われております。

                      熊野神社本殿

大田区内の神社建築では、最も古いものです。また、境内東口の鳥居は寛政8年建立と記され、 区内で2番目に古いものです。
木原氏の元の姓を鈴木といい、紀伊の熊野社に仕えた一族であることから、熊野信仰を新井宿村に持ち込んだといってよいでしょう。
なお、1608年(慶長13年)2月に上棟された、池上本門寺の五重塔は木原方の建築です。

                       熊野神社境内

山王熊野神社大神輿の渡御
熊野神社大祭の初日の8月31日は、18時半から中神輿の御霊遷しが行われ出御し、22時に御仮屋に納められました。
9月1日は、10時から式典を行い、13時から曳き太鼓と一緒に子供神輿が巡行しました。
3日目の9月2日は、14時に神社からの坂を下るため、担ぎの横棒を交換した大神輿が出御して、15時15分から池上通りをスタートするお祭りパレードの出発点の春日橋交差点近くのガス会社前に勢揃いしました。

        池上通りお祭りパレードの曳き太鼓・子供神輿・山王囃子

・池上通り
今の池上通りは、1937年(昭和12年)に出来た道で、大森駅から大森郵便局あたりまで古い池上道を使い、そこから東急池上駅までは新しく新道が造られました。
古い池上道は、大森郵便局あたりから西側をほぼ並行する裏道を通り、池上本門寺あたりは門前町の雰囲気を残す街道でした。
古い池上道(平間街道)は、古い東海道の本道であり、奥州街道とも相州鎌倉街道(鎌倉古道) とも呼ばれたが、徳川家康が海沿いの街道を整備してから脇道となり以降「池上街道」と称されました。

          池上通りお祭りパレードの高張り提灯・猿田彦・手古舞

・お祭りパレード
お祭りパレードは、先頭に曳き太鼓に子供神輿から始まり、山王囃子にリトルリーグメンバーの高張り提灯が続き、そして猿田彦と手古舞が大神輿を先導します。
熊野神社の大神輿は、祭神が伊邪那岐命で、台座が三尺(91cm)の大正14年の製造、製作者は大井町・大竹で、銅葺きの大振りの延軒屋根の勾欄造りが特徴であり、品川拍子で担ぎます。

       神官のお祓いの済んだ神酒所前では神輿を差し上げてご挨拶

大森郵便局付近のガス会社前を出発したパレードは、最初のダイシンデパートの神酒所前で休憩します。大神輿はお神酒所前では、神輿を差し上げてご挨拶をして、木が入り屈んで神輿を馬にのせます。

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神輿の渡御は、池上通りの道幅一杯を使って、横笛と括り太鼓の品川拍子で神輿を左右に「おいさ」「おいさ」と右へ押し、左に押し戻しながら前進して行きます。
次の神酒所で神輿を差し上げて、池上通りのくらやみ坂下で折り返し、大神輿の宮入は19時40分です。

        (拡大)             (拡大)               (拡大)

パレードの最後は、山王女性連の踊りが登場します。


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