kan-haru blog 2007

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羽田恒例の神事 献灯祭
今年は日本列島が74年ぶりの猛暑に見舞われたなかで、ようやく晩夏を迎えた8月24日金曜日、25日土曜日の2日間にわたって、東京羽田の穴守稲荷神社で神事の「献灯祭」が開催され初日は18時より祭典が催され、その後行灯に灯明が灯されました。
行灯は、家内安全や商売繁盛、交通安全などの願いを託して事前に申し込んで奉納します。
普段は闇夜に紛れている神社参道が、「献灯祭」では厳かな光に包まれる光景は趣深く、19時から境内で輪踊り(盆踊り)が行われ、残暑の夕涼みをかねて25日に見に行きました。

穴守稲荷神社(東京都大田区羽田5-2-7)(「風景・風物詩(B15) 初詣風物詩 穴守稲荷神社」参照)は、京浜急行電鉄の京急蒲田駅から支線空港線の3駅目の穴守駅下車徒歩5分ほどで参道(地図参照)です。

献灯の行灯
参道の鳥居に着いたのは、午後6時を少し過ぎた頃で辺りはまだ明るく境内がよく見渡せました。献灯の行灯(配置図参照)は、参道の左通路に沿っていっぱいに2列に並べられている276個(A,B)の大型の行灯が先ず目に付きました。

 参道鳥居の特大型行灯   参道通路の行灯(拡大)   参道通路の行灯(拡大)

境内に飾られた行灯は、大型行灯が本殿への通路の両脇に2列120個(C,D)が並べられ、小型行灯は境内の通路に2列90個(a,b)と、本殿の横に48個(e)、さらに手水舎の奥に60個(配置f)が並び、豪華な絵や文字の大小の行灯がとても華やかに目だちます。

 参道山門の特大型行灯   社務所前通路の行灯    穴守駅前の行灯(拡大)

献灯祭の行灯は、この他に特大行灯3個が参道の鳥居と、山門、本殿および社務所に2基ずつ飾られております。また、京浜急行の穴守駅の構内に10個の小型行灯と、駅前に44個の行灯を含めて、総数が800個にのぼる豪快華麗な羽田の風物詩です。

・行灯の点灯

                       行灯の点灯

18時20分頃から、神官や役員の方などにより行灯をロウソクによる点灯が始まりました。ロウソクで点灯する行灯は、本殿と社務所の4基の特大型行灯(L)と大型行灯(A~D)の400個に小型行灯(a~d)の150個が続々と点されていきます。
鳥居と山門の5基の特大型行灯(E,F)と小型行灯(e,f)の100個は、電気の点灯で明かりが灯されます。

 奉納の行灯を点灯(拡大)

奥宮参拝
穴守稲荷神社は、世界大戦までは現在の羽田空港の敷地内にありましたが、終戦により駐留アメリカ陸軍の命令により48時間以内の強制退去を命ぜられ、1948年に現在地で仮社殿により復興した不遇のお稲荷さんなのです。

夏目漱石の「我輩は猫である」にも登場した穴守稲荷は、明治・大正時代には歓楽地で参道にはおびただしい数の鳥居と茶店、土産物店などが立ち並ぶ盛況でした。
小学生時代に行った昔の穴守稲荷の築山は、かなり大きかったとの記憶があります。行灯の灯が映えるのには若干の時間がありますので、かなり薄暗くなってきましたが奥之宮社殿と本殿の間を通り、現在のお稲荷さんの築山に登ってお参りしてきました。

                   築山に登って末社の参拝

美しく輝く境内の行灯と輪踊り
神楽殿前の広場の輪踊りの櫓の提灯の明かりが目立ってくると、行灯の灯は幻想の世界を誘い、昼の暑さを忘れさせる晩夏の一風の涼剤です。
輪踊りの始まる19時になると、辺りはすっかりと暮れ、行灯の明かりが映えて「献灯祭」も高潮を迎え参拝客で混んできました。

                   幻想的に輝く境内の行灯

輪踊りは、昔から羽田では土地に伝わる目出度い席で必ず唄われる羽田節で始まりました。
 “お背戸に蔵が 七棟まえ 七棟まえの蔵よりも 親が大切”
 “目出度いものは 芋でそよ 袖長く葉広く 子供あまたに”
 “羽田ではやる お穴さま 朝参りや 晩には利益さずかる”


各町会婦人部の方々で始まった輪踊りも、時間がたつにつれ近隣の踊りの好きな男性、女性陣も加わり、行灯の灯りにつつまれて子供も参加して輪が膨らんできました。


20時になり踊りの休憩時間には、穴守神社13人の雅楽部メンバーによる笙、篳篥、横笛などによる雅楽の演奏が神楽殿で演奏され、「献灯祭」を幽玄の世界へと導き、長かった夏の終わりを告げる風物詩でした。

           穴守神社雅楽部の演奏         参道山門の特大行灯(拡大)

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