kan-haru blog 2007

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第一部の演奏が済み、10分の休憩をはさんで第二部の開演です。
・第二部
三谷(尺八)
三谷は中京所伝の曲で、ブルース ヒューバナーさんの独奏です。奏者のブルース さんは、1983年に来日し、外国人として初めて東京芸術大学邦楽課修士課程尺八専攻を修了し、琴古流尺八演奏会では好評をはくし、現在日本の学校で音楽講師を勤められております。

            三谷                         砧三章

砧三章(箏曲合奏)
砧三章は、沢井忠夫の作曲で、第一章と第三章はリズムの絡みと流れを軽快に表現し、二章では謡曲「砧」をテーマに、秋の終りの寒々とした季節感、三連音による虫の声等などドラマチックに表現する演奏曲です。奏者のカーテイス パターソンさんは、1986年に来日し、外国人として初めてNHK邦楽技能者育成会を卒業、沢井忠夫に師事。現在、邦楽教育・指導で幅の広い世界を目指しています。

橋弁慶(仕舞)橋弁慶は、「五条橋に少年が現れて不思議な早業で人を斬り回る」ことを聞いた弁慶は、少年を討ち取ってやろうと夜更けを待つ。牛若が今宵を最後と五条橋で人が通るのを待つと、鎧に身を固めた弁慶が大長刀を担いで現れる。すれ違いざまに弁慶の長刀の柄元を蹴上げて戦いを挑む。激闘の末に弁慶は牛若の秘術に降参した弁慶は、主従の契りを結ぶという演題を、ご子息と息の合った仕舞を熱演されました。


元禄花見踊&娘七種(長唄)
プロの長唄の囃子方のリードに頼りながら、代田インターナショナル長唄会の生徒さん達の半年間の稽古の成果の発表です。演技は、元禄の頃上野の山での花見を題材にした、1878年の八世杵屋正治郎作曲の元禄花見踊りと、春の七種を打つ曽我狂言を題材にした、1767年の二世杵屋六三郎作曲の娘七種からの抜粋で、唄9人(うち外国人3人)、三味線10人(外国人6人)、笛2人(外国人1人)、小鼓、大鼓、太鼓が各1人の大人数の演奏です。外国人にとっては、長唄を謡うのは大変難しいのではと思いました。長唄では、豊嶋さんは三味線での登場でした。

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かごめ、京の大仏、通りゃんせ、越後獅子(篠笛合奏)
ポピュラーな曲での篠笛合奏には、福原寛先生指導による演奏で、笛10人(うち外国人7人)、唄、三味線、太鼓が各2人と、大太鼓、当り鉦が各1人の大合奏です。豊嶋さんは笛と太鼓の2種の楽器での演奏をこなしました。


山月抄(笛独奏)
山月抄は、中島敦の短編小説「山月記」から想を得て作曲したものを、福原寛先生の前半を篠笛一管で、後半を能管一管で自作自演の素晴らしい演奏で聞かせて頂きました。福原寛先生は、東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業で、人間国宝福原流宗家四世寶山左衛門に師事し、現在国立音楽大学講師を勤められております。
篠笛(しのぶえ)は、古来より伝わる横笛で、大和時代にはすでに使われていたようで、しの竹から作られます。現在では歌舞伎、長唄、浄瑠璃などの伝統芸能の伴奏としても広く活躍しており、最もポピュラーな横笛(竹笛)です。能管(のうかん)は、能の囃子で使われる横笛で、能笛(のうてき)とも云います。能の成立した室町時代に作られました。歌舞伎の伴奏楽器として三味線音楽に取り入れられ、現在は幅広く用いられております。


鶴亀(長唄)
鶴亀は、1851年十世杵屋六三郎の作曲で、観世流の謡曲「鶴亀」の歌詞を殆どそのままとってあり、わずか千代のためしの一節に相違がある曲で、婚礼などのご祝儀物として良く演じられます。第二部最後の演題で、唄6人、三味線7人(うち外国人3人)、笛、小鼓、大鼓、太鼓、箏が各1人と林千恵先生の林流家元の門下3人の立方が加わってのお目出度い演出です。邦楽は、楽器を演奏する囃方と踊り手の演技をする人を立方(たちかた)と云います。林千恵先生は、17歳で林流家元となり、東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業で、現在「林千枝リサイタル」で古典と創作の両面で注目を集めております。豊嶋さんは三味線で出演しました。

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フィナレー
第二部の演奏が終わり、出演者全員が舞台に登場して、代田インターナショナル長唄会の西村真琴先生のご挨拶があり、先生方が演奏する笛、三味線、小鼓、太鼓などの囃方と林千恵先生の立方によるアンコールが演出され演奏会の幕が閉じました。


会館を後にして、鑑賞を共にした異業種交流会のメンバーで、邦楽の出演者の熱演と、大入り満員の会場の熱気により乾いた喉を潤すため、表参道でビールを傾け解散しました。

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