ミスについて思うこと
03/7/11海保
ヒューマンエラーをめぐっての
最近の気になる話題2つ。
1)医療ミスを繰り返す医師、免許取り消しも(6月26日付け毎日新聞の1面トップ記事)
●リピーター医師---事故多発者、あるいは事故傾性者---の処分について、医療道審議会に諮問。
・おっちょこちょいで衝動的な性格
・未熟な技能
・貧弱な知識
が事故を起こさせる。
●事故傾性者、事故多発者をどうする
○一番、厳しいが効果があるのは、排除。
これが今回の対策のねらい。
しかし、その職につく、あるいは免許を取得するときにやる---スクリーニング---、ならまだしも、かなり暴力的な対策。
○これより穏便な対策は、エラーをおかす現場を変えてみる、「配置変え」。手術はへたでも、外来医療は得意ということがないか。
・状況の中に、エラーを繰りかえさせる力があるかもしれない
・本人の持っている適性と仕事のミスマッチがあるかも
○もう一つは、研修、再教育。未熟な技能、貧弱な知識を改善する。
最近、教育界では、いわゆるダメ教師、入試問題の2割しか解けない先生では困るという話がありましたが、現場から一時的に離脱してもらって、再研修。
●排除は最後の最後の手段ではないかと思う。
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2)私鉄大手で、免許切れのままバスを運転していてもらい事故。運行主任は「子だくさんでかわいそう」ということで、替え玉を警察の事情聴取に出向かせた。匿名電話で事態が発覚。
会社ぐるみでかばいあいが判明。
●違反とエラーとは違う
人は誰でもエラーはする。
しかし、違反は、
・意図的な違反
・知らないままの違反
この中には、最初は違反を知っていたが、習慣的に違反をしているうちに「知らないまま違反を」というケースがあるのでやっかい事故の芽を潜在させている。
●このケースでは、意図的な違反。しかも、組織ぐるみの違反。公共的には言い訳がたたない。
しかし、背景に、組織の「日本的なやさしさ」があるだけにやっかい。
●精神としては、
「エラーには優しく、違反には厳しく」
だが、しばしば、
「エラーには厳しく、違反には優しく」
という組織文化、企業文化が構築されてしまう。
●組織として考えるべきは、
ホイッスル・ブロー(whistle blow;違反の警告者)あるいは、
悪魔の代弁者(安全について口うるさく言う人)
を組織の中でいかに正当に位置づけるかである。
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