KT88超三結version2アンプについてですが、以前から気になっていることがありました。

 

回路をなるべくシンプルにわかりやすくと考えて、以下のように出力段のLM317の定電流回路を、出力管のカソード側に入れていました。

 

 

この回路は、LM317に並列にパスコンが必要で、非常に大容量のものを投入しないと周波数特性上、低域がフラットでなくなり逆に盛り上がる症状がありました。

 

最近では、LM317と並列にパスコンを入れるのではなく、出力管のカソードとB電源の間に電解コンデンサを入れることで、出力管の信号ループを形成していました。

ただ、高耐圧の電解コンデンサが必要になるため、ここに大容量のものを投入できず、低域特性については悩みの種でもありました。

 

 

この回路ですが、定電流になっているのはプレート電流だけでなく、プレート電流と第二グリッド電流を合算したものが定電流になっていると思います。そのため、出力の増加とともに第二グリッド電流が増えるとプレート電流が減ることになり、なにやら気持ち悪さを感じていました。

 

参考にさせて頂いた上條氏が設計された6550超三結version2アンプは、出力段のカソードに定電流回路を入れるのではなく、電源の供給側が定電流かつ定電圧回路となっていて、さらに第二グリッドは定電圧回路になっているように見えます。

実は、この回路の動作への理解がなかなか進まず製作をためらっていたのですが、ようやくなんとなくわかってきたので、製作してみる気になりました。

 

そこで、現在入手可能な半導体でこの定電圧定電流回路を製作してみることにしました。

半導体は、千石やサトー電気で手に入る以下の代替部品を使いました。

2SK719の代わりに2SK3566

2SJ117の代わりに2SJ181s

2SK30はそのまま

2SK310Aの代わりに2SK3566

2SD401Aはそのまま

 

回路図は下記のようになりました。(2021/4/8 差し替え)

 

製作した電源部分は以下のようになりました。

 

 

2SJ181sは表面実装タイプなので、基板B面に配置しています。2SK3566に使うヒートシンクは小さいものしか実装できなかったため、2SK3566での電圧ドロップが少なくなるように回路定数を決めました。ここは、本来ならば非常に大きいヒートシンクにすべきだと思います。

 

以下はアンプのはらわた全体です。

 

 

回路変更後のほうが、低域がすっきり聞こえるような気がします。また、全体に細かい音が聞こえるようになったようにも思います。

(あくまで主観です)

 

高域の周波数特性を測定したところ、NFBの影響で20k以上が盛り上がるように見えましたが、NFBの影響だけでなく測定系の問題もありました。

NFBの定数を見直しましたが、超三結とオーバーオール帰還の併用するのは、安定に動かすのは困難かもしれないとも思います。

 

後日、特性を測定したいと思っています。

 

(2021/8/7追記)

電源回路に用いている2sk30の温度特性により、B電源の出力電圧の低下から2sk3566での電圧ドロップ量が増加し、結果として2sk3566の発熱が問題となる可能性が出てきましたので以下のように電源回路を見直しました。