6L6GCは、GE製のものを学生時代に購入して、本ブログの初期に書いたシングルアンプで使用していました。当時ラジオデパートでペアチューブを4000円で購入したものです。

 

6CA7超三結version2差動プッシュプルアンプでやることが一段落つき、真空管の交換で楽しむこととし、6CA7のみならずKT-88も試していますが、6L6GCも試してみたいと思うようになりました。

 

プッシュプルステレオなのであと2本必要で、ヤフオクや通販で1本ずつ手に入れました。特性は不ぞろいなので、アンプの特性への影響は覚悟の上でしたが、そこはなぜか問題になりませんでした。唯一、出力管のグリッド電位が、3本はだいたい-20~-21Vなのですが、1本だけ-15V程度です。

 

この状態で、DCバランスはとれますが、ACバランスはどうなんだろうと思いましたが、ひずみ率を見る限り課題がないのでしばらく使って様子を見ることにしました。

 

一方、念のため6L6GCのプレート電圧など確認してみましたが、Rchは430V程度で、電源回路の半固定VRを使った調整にも反応しますが、Lchは450Vもあって、電源回路の半固定抵抗を回しても出力電圧に変化がありません。

 

今までの経験では、こういうときは電源回路に使っている半導体の故障(使い方の問題)が多かったので、今回もそれを疑いました。半導体の故障による短絡などがないか、テスターで確認しても問題ないので原因がわからず、念のため2SK3566や2SC2333、E-152、1Z68など一通り交換してみましたが、故障の兆候が見られなかったので交換しても状況は良くなりませんでした。

 

さらに、配線やCRの抵抗値なども確認してみると、ようやく電源回路の抵抗の断線を見つけました。Lch電源回路に用いた330kΩ(下の回路図の赤で囲った抵抗)の抵抗値が1.4MΩとなっていました。念のためRchも確認すると、330kΩのところ450kΩありました。

 

 

(左が1.4MΩになり、右が450kΩになっていた)

 

当然ここの抵抗で消費する電力も計算してて、1/2W型であればギリギリ大丈夫と踏んでいましたが、使った抵抗が1/4W型であったか、1/2W型だが定格ギリギリであったために故障した可能性があります。

 

ここの抵抗を1W型のものに交換すると、電源回路が元通り動くようになりました。ただ電圧の調整レンジが低めにシフトしてしまったので、所望の電圧を得ることができず、かつそのままだと2SK3566で消費する電力が大変なことになってしまうため、68kΩを56kΩに交換しました。この状態で、6L6GCへのプレート電圧が435Vになるように調整しました。

 

この電源回路を組んでから年単位での稼働をしてきましたが、派手に壊れなかったので、ここまでわかりませんでした。設計的、あるいは部品選定として弱いところがあると、こういう形で出てくるのですね。

 

設計時に個々の部品をスペックに対して余裕をもって使用したり、選定を誤らない、配線を確実にするなど基本的なことをしておけば問題にならなかったと思いますし、本来あるべき姿はそういうことだと思います。一方で、設計時に(自らの未熟さゆえ)想定しえなかった事象に対しては、作ったものが一定の信頼性を得るためにはエージングによる不具合のスクリーニングも重要だとあらためて気づかされました。