6CA7超3結Versioon2のアンプを製作してきましたが、オーバーオール帰還をかけた時に超低域で発振が起こり、対策として低域ゲインを落としていました。原因は出力段の個々の真空管に定電流回路を持たせ双方のカソードをコンデンサで接続したたため、そこでの低域時定数が影響していると考えました。

 

今回、このコンデンサを撤廃して出力段の定電流回路を1つにすることとしました。さらに、DC的に安定させるためにDC Servo回路を構成することにしました。

出力段の定電流回路をLM317 1つで構成し、DC Servoをかけるために双方のカソードを3.3Ωの抵抗を挿入して接続しました。DC ServoはDual Transisterが入手が難しくなってきたため、今後の保守も考え2SA970と2SC1815を熱結合して使用しました。

出力段の2つの真空管のカソードを熱結合した2SA970のそれぞれのベースに結線し、2SA970で構成される差動アンプで増幅、2SC1815をカレントミラー回路にしてこの差動アンプの能動負荷としました。Servo回路の出力は電圧帰還管の6SN7GTBの片側のグリッドに接続してサーボがかかるようにしました。

調整は、VR202, 201, 203の順に追い込みました。手元では2つの出力管のカソード電位差が±2mV以下程度には調整でき、プレート電流としての差分は1mA以下になっていると思われます。

 

以上の変更で、出力管のカソード同士を結合していたコンデンサを撤廃したため、低域のゲインももとに戻していますが超低域発振はなく安定しました。

 

変更後の音質は、超三結というよりも、差動プッシュプルの趣が強いと思います。ずっと差動プッシュプルではありましたが、出力管個々に定電流回路を設けてカソード同士を大容量コンデンサで接続するよりも、定電流回路を1つにしてコンデンサを介さずにカソード同士を結合することで、差動プッシュプル的な音になっているように思えます。


回路図

 

 

※2021/1/20追記

その後の回路変更や出力管の入れ替えなどで、サーボ回路がなかなか収束しないケースがあったため、サーボ回路は見直しました。その部分のみ反映させた回路図を参考に掲載しておきます。