運は遺伝するを読んだ。読後すぐは、なんとも言えない気持ちになった。

非認知能力もアドラー心理学の勇気、グリット(やり抜く力)の成功哲学も、ある意味その人の遺伝や知能、共有環境、非共有環境も影響があり、良い悪いがあるのではないか。

そして、難しい文章もあり、全て理解するのにはとても時間がかかる。まだ、今後も学びをアウトプットしていきたい。

以下、現時点で学んだこと。


「社会がリベラルで豊かになるほど、あるいは貧しい家庭より豊かな家庭ほど、遺伝率が上がっていく」遺伝率が固定したものではない。そして、知能の遺伝率が年齢ともに上昇していくのは20歳くらいまで。その先、遺伝率の上昇はフラットになっていく。

成長するにつれて自分の遺伝的素質に合わせて環境を選択したり(遺伝と環境の能動的相関)、友人や周りの大人がその子の性質や能力に合わせた関わりをするようになる(遺伝と環境の誘導的相関)機会が増えることで、本来の遺伝的な素因が前面に出てくるのではないか。これも行動遺伝学が常識を覆した重要な発見。

成長とともに、遺伝が顕在化する。学習経験は遺伝的素因をあぶり出してくれるもの。


高学歴の親だったらば、高知能を与えられるのは当然の摂理。

「知能の話題になると、偏差値80の大学に子供を何人も入学させた親などの学歴社会の成功譚ばかりですが、知能の分布はベルカーブ(正規分布)なので、偏差値で言えば40〜60の間に全体の約7割が収まり、15%が偏差値60以上、残りの15%が偏差値40以下になります。これは統計学では当たり前ですが、ベルカーブの右側は話はみんな好きでも、左側については口を噤んでますね。」


「教育業界は特にそう。知能の遺伝を認めないのは、低い知能も遺伝するということが不都合だから です。目を背けてはいけないこと。」

そりゃそうだよね、と、ここを読んで納得してしまう私。

やはり、子供が生まれた時から育てていて、危険な常識を知っていて子育てするのと、危険を予知できずに子育てをしているのをよくみかけるからだ。


【精神科医の宮口先生が世に問うた「医療少年院にはケーキを三等分する方法が分からない少年がた

 くさんいる」は、「誰もが同じ知能を持っている」という前提では、こうした子どもたちに適切に

 支援ができない事実を日本社会に教えてくれた。】


これを考えると、みんながみんな同じ教育を受けても、遺伝、共有環境、非共有環境、本人のパーソナリティで影響が変わるのではないかということ。


遺伝的適性というのは、結局「自分が何に向いているのか見つけなさい」という話。高学歴でも、何をしたいのか分からなくなっている人はたくさんいる。大学や会社のブランドが、遺伝的な適性を教えてくれるわけではない。

遺伝的に適正であることと、外部からの評価は無関係。なんらかの才能で世間に認められている人たちに話を聞いても、社会的な評価が先にあったわけではなく、自分の能力を知る最初の手がかりは何だったかというと、「何に興味や関心を持つか」ということだった。


人間は、自分の暮らす環境から刺激を受けて、それを元に脳が学習を繰り返すことで世界を認識している。その過程において、ほとんどの人は遺伝的な素質の「起伏」を多少なりとも感じているはず。

身体を動かすのは嫌いで、絵本を読んでいる方が性に合っているとか。ただ、この「起伏」があまりにも些細で声高に他人に語れるほどではなく、謙遜・卑下しているのが一番多いのではないか。

そういう人に言いたいのは、ほんのわずかな「起伏」でもいいから、山を登ってみなさい。実際に登ってみることで、その先の景色が見えてくることはある。逆に、もしいまの自分がいる生活環境において「好き」という感覚を全く感じないのであれば、そういう感覚の生まれる環境へと移動する必要があるかもしれない。環境をガラリと変えることで、興味を持てるものに出会うということは多々ある。

「置かれた場所で咲きなさい」ではなく「咲ける場所に動きなさい」

でも現実には動くことが難しいという人も多いのでしょう。


つまり、色々な成功譚はまずは横に置いといて、

自分ってどんな人間なのか?を徹底的に自己分析をしていき、自分(遺伝)にあった環境を見つけていくことが生きる戦略を見出せることとして大事なのではと考えられた。


「どうすれば成功しますか?」という問いに対して、「圧倒的な才能」「圧倒的な努力」もなんの答えもなっていない。どちらも遺伝的な要因が大きいから、と伝えている。

しかし、

強者の土俵で戦うことを避け自分の能力が優位性をもつ市場を見つけることができれば、それが

 成功の近道になる。とてつもない才能がなくても、とてつもない努力ができなくても、競争相手の

 平均を上回っていれば十分な利益(金銭的な収入と高い評価)を獲得できるでしょう。

 たとえ、大谷翔平や藤井聡太になれなくても、遺伝的なアドバンテージをフックにして、好きなこ

 と得意なことに人的資本を集中させる。そのうえで、自分の強みを活かせるニッチに活動の場をず

 らすことで、(それなりの)成功を手に入れることができるのではないか。」


これが、行動遺伝学の知見と整合性のある「人的資本の最強の法則」と提言してくれている。

これは、私にとって新しい学びになった。


私は非認知能力、アドラー心理学、グリット(やり抜く力)の全てを否定することはしない。

実際に教育や子育てをしていて、納得することも多々あるからだ。

なので、これらは自分や子どもに(遺伝的に)合った良いとこどりをしていくことで、最高の教育や子育てになるのではないかと考えられた。


最近、ぐっと引き寄せられてしまう、橘氏と安藤氏の本。

まだまだいっぱい読んで勉強します!