言えない秘密 本日公開ということで初日に見てまいりました😊以下ネタバレします⚠️





予告で湊人が"雪乃知らない?"と聞いていた時に"そんな奴いた?"と返されていた辺りで雪乃は湊人と同じ大学の人では無いというのは確定していたもののまさかのタイムリープだとは思わなかった。


湊人は留学から帰ってきてピアノを辞める気だった。なのに雪乃との出会いはピアノ、湊人は雪乃のピアノの音に惹かれてそこへ行った。この最初の時点で湊人のピアノへの大好きでたまらない気持ちとその楽しさを思い出せないという気持ちが同時に成り立っていて苦しみを感じた。雪乃は名前を教えない。最後まで見てから考えるとSecretを弾いたらまたここに来れるのか分からない中で名前を教えようとは思わないよなとも思うけど一緒に遊んだあの日に教えてくれた雪乃はきっと湊人に一目惚れしてたんだな…なんて。


湊人のピアノバトルの後、雪乃に誘われて弾いたあのピアノは格別だった。雪乃は湊人が持つ苦しみも悲しみも悔しさも感じていただろうし、それを感じた中で共に楽しくピアノを弾きたいと手を引いた姿は紛れもなく湊人の光だっただろう。湊人がもう一度やりたいと立ち上がるキッカケにもなってたはずだ。


クリスマスの夜。2人で踊ってオルゴールをもらってSecretを渡す。雪乃はオルゴールを見て少し複雑な表情を見せてて、上手く言い逃れたけど相当苦しい経験だったと思う。自分の遺品として見ちゃってるからね。お返しとしてSecretを渡すのも苦しすぎる。雪乃なりの"あいたい"だったのかなって後になって思うし終わってからだからこそ苦しい。雪乃は湊人が耳コピして直ぐに弾けるという才能を知っているからこそ楽譜がなくとも覚えてくれると分かってただろう。旧校舎のピアノでは弾かないでという約束と共に考えると会いたいという思いと普通の女の子としていたいという2つの気持ちがグッときて辛い。


雪乃が姿を消してからも諦めず発表会に出るために練習した湊人。湊人の中にきっと雪乃は来てくれるという確信があっただろうしそれだけが彼のモチベーションだったと思う。そして本当に来てくれた。それなのにお別れなんて悲しすぎる…


秘密がすべてわかる時。

雪乃が遺した日記にたどり着いた湊人ももう一度弾けばと走った湊人も本当にかっこよかった。雪乃を救おうとピアノに手をかけたのもかっこよすぎた。湊人かっこいい、かっこよすぎる。


108歩。私が1番に思い浮かべたのは108本の赤い薔薇。108は永遠。2人の運命の距離は永遠を示しているような気がした。

ちなみにSecretは♩=108のAllegretto。扉から湊人まで108歩で湊人が生きる時代までの距離も108ということなのかなとも感じた。


湊人の父は2つの世界線を繋ぐキーだった訳だが、その存在感が絶妙で。湊人にとって1番の味方であったことは間違いない。赤いトイピアノを出してきては下手くそな調律を施し、結局ならない鍵盤もある状態だったけど湊人に幼い頃の楽しいピアノを思い出させるキッカケとなったはず。彼としてはピアノをやめてもいいし考えて好きにしなというスタンスだからこそピアノを思い出させることは意図してないだろうという点も愛おしい父だ。父はそのトイピアノが貰い物で変わった女の子からの贈り物だということは覚えてるのだろうか…

大きくなった姿を先に見ていた雪乃は湊人がピアノの楽しさを知っている子になって欲しいと赤いトイピアノを選んだのか。それともそうなると確信して送ったのだろうか。雪乃がトイピアノを選んだ理由が知りたいところ。


エンドロール"ここに帰ってきて"

終わって聴いたこの曲は私の中で湊人から雪乃へ時空を超えたラブレターだと感じた。湊人が音楽の世界で大成したかは分からないけど音楽作品を通して雪乃へあなたのいない世界で前を向いて生きてるんだ、けど願いが叶うのなら俺の元に帰ってきて欲しい。そんな思いが感じられて雪乃へ届けと心の底から思った瞬間だった。



音楽は言葉の壁を越えるとか、障がいの壁を越えるとか色々言われるがこの作品は時空を超える。音楽の世界には壁なんてないのかもしれないとも感じた今作だった。


言えない秘密にどうか泣かないで。

この秘密は決して悲しいものじゃなくて彼らのたった半年の暖かい恋の物語だった。