【HK9S/EDUCE/025】◎文明の歴史と化学 ~化学と歴史の深~い関係~◎ | HK5STUDIO/CONVENI

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スペイン北部には、世界遺産に登録されているアルタミラ洞窟があります。
この洞窟を世界的に有名にしたのは、洞窟の天井一面に描かれている壁画です。
今から1万3000年以上も前の人が描いた、様々な動物の絵が残されています。
ここに人類の歴史と、化学との接点があります。
牛を描いた赤い色は、鉄分を含んだ赤鉄鉱という石を砕いたものから作られています。
赤は血の象徴だとも考えられていました。
赤鉄鉱を乳鉢ですりつぶしたものを用意しました。
昔は油や樹液で溶かしたそうですが、今回はノリを混ぜてみました。
この絵の具を使ってみると、ちゃんと赤い色で絵を描くことができました。
このように、昔からわたしたち人間は自然にある物質を利用してきました。
その中でも、特に人間と関わりが深いのが金属です。 
人間は初め、自然に採れる金や銀をそのまま利用してきましたが、やがて金属を作り出せるように
なりました。
古くから利用されてきたのは銅です。
武器や、儀式などのための様々な青銅器が作られました。
その後、人間は鉄を手にいれます。
銅より硬い鉄を利用することで、武器や農耕の道具などが飛躍的に進歩し、文明は大きく発展しました。
そして、今から150年ほど前に利用されるようになったのが、アルミニウムです。
アルミニウムを作り出すのには大量の電気が必要です。そのため、近代になるまであまり
利用されませんでした。
現在では、新幹線や飛行機などに広く使われています。
人間は長い歴史の中で、化学の力を使って金属を取り出してきました。
「人間は昔から色々な工夫をし、自然から役立つものを作り出してきた」のです。
化学を知ることで、人間の歴史を知ることもできるのです。
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人間は様々な物質を、生活するための道具の材料として作りだし利用してきました。
どんな物質をつくり出してきたのか、まず金属を見てみます。
くじゃく石には銅が含まれています。くじゃく石から銅を取り出してみましょう。
実験に使用する主な器具は、
 ・くじゃく石
 ・活性炭
 ・るつぼ
 ・マッフル(るつぼを入れる装置)
等です。
では、実験です。化学の実験では保護メガネをかけるようにしましょう。
1.くじゃく石をるつぼに入れる
2.くじゃく石を活性炭で覆う
3.るつぼ をスタンドにセットしたマッフルに入れてフタをする。
4.ガスバーナーに火をつけて火力を調節する
5.最初は弱火で、その後火力を強くして るつぼを30分ほど熱する
6.火を止める。熱が冷めてから、るつぼの中身を取り出す
るつぼ の中身を取り出すと、茶色になっていました。
活性炭のはたらきで銅に変化したのです。
茶色になったくじゃく石は、本当に銅に変化したのでしょうか、確かめてみます。
金属ならば、電気が流れるはずです。
電池と豆電球に繋いだコードを銅に触れてみると、豆電球が光りました。
確かに、くじゃく石から銅を作りだすことができました。
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代表的な金属の特徴を見てみます。
まず銅です。
銅といえば10円玉ですが、実は100円玉や500円玉にも銅が含まれています。
それぞれの色が異なるのは、合金といって、銅のほかに亜鉛やニッケルといった金属が
含まれているからです。
混ざっている金属の割合によって、色や性質が変わります。
鉄は人間が利用している金属の90%にもなります。
代表的な製品には、なべ や釘などがあります。
また、わたしたちの暮らしを支えている建物の骨組みや機械といった幅広い用途でも広く使われています。
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最後にアルミニウムです。
アルミニウムは軽くて利用しやすいのが特徴です。
1円硬貨やアルミ缶は、アルミニウムで作られています。
金属には
 ・光沢がある
 ・電気や熱をよく通す
 ・いろいろな形に変えられる
といった特徴があります。
次に、プラスチックを見てみます。
プラスチックは、石油から出来ています。
石油の元になっている原油から、プラスチックになる成分を取り出し、合成します。
プラスチックには、熱に強いものや硬いものなど色々な種類があり、軽くて加工しやすいのが特徴です。
熱すると柔らかくなるものは、カップめんの容器や飲み物のボトルとしておなじみです。
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実際に、自然の中からどのように物質を取り出すのか、先生にまとめてもらいましょう。
今日はくじゃく石から銅を取り出しました。この銅を加工すると、製品になります。
自然の石の中に含まれる色々な金属は、化合物と言って、酸素や硫黄など別の物質と結合しています。
化合物から金属だけを取り出すのは高度な技術が必要で、この技術を「製錬」といいます。
銅をつくるのには、「還元」という処理をして精錬しました。
鉄を取り出すのも同じ原理ですが、銅に比べ鉄のほうが製錬するのに高い温度が必要になります。
例えば学校の実験室にあるバーナーは、銅は溶かすことができますが、鉄を溶かすことはできません。
一方、石油からできているプラスチックは原油の「精製」という処理をした後、製品となります。
しかし、精製の工程ではとても複雑で難しい処理をしています。
石油化学工場には、とても高い塔があり、塔の高さが高いほど温度差を作る事ができます。
その温度の違いを利用して色々な成分に分け、いろいろな種類のプラスチックの原料を作っています。
これまで様々な発明や発見があり、現在のように色々な物質が使えるようになりました。
精製や精錬の詳しいしくみは、これから徐々に学んでいきましょう。
身近な化学として、金属やプラスチックを見てきました。
陶器のコップは、金属でもプラスチックでもありません。
しかし、この焼き物もまた化学と言うことができます。
粘土を良く練って形をつくり、乾燥させてから、高温で焼いたものが陶磁器です。
乾燥させただけでは壊れやすい粘土が、高温で熱することで、硬くて水にも溶けない焼き物になります。
焼き物を作るためには、長い時には数日間に渡って、高温で釜を炊き続けなくてはなりません。
陶器をつくる窯の中では、どんな変化がおきているのでしょうか。
釜の中は、1200度もの高温になっていて、そこでは、「ガラス化」という現象が起こっています。
ガラス化とは、焼き物の表面に掛けた灰や粘土の成分が、高温の中で硬いガラス質に変化する現象
のことです。
ガラス化によって、柔らかくもろい粘土から、硬く美しい陶器ができます。
粘土やケイ砂という物質を高い温度で処理して作ったものを、化学ではセラミックスといいます。
セラミックスには、熱に強く電気を通しにくいといった特徴があります。
陶磁器といった焼き物の他にも、化学と関係のあるものが身の回りには沢山あります。
例えば洋服にも、石油からできているものがあります。
衣服のタグに、ナイロンやアクリル、ポリエステル等の表示があれば、それは石油から作った化学繊維でできています。
これまで、周りのものが何で出来てるのかあまり気にしたことのない人も、化学を通して見てみると、
面白い発見があるかもしれません。