今回は,まず命題の逆や命題の対偶について学びます。これらは命題「p⇒q」に関連したある形の命題を指す用語です。ある命題の対偶は,もとの命題とは別の形をしているものの,もとの命題と真偽が一致するという性質を持っています。証明することが難しい命題に出合ったときは,この性質を利用することで証明がうまくいく場合もあります。


命題p⇒qがあるとき、q⇒pをもとの命題の逆といいます。
それでは、三平方の定理の逆を考えてみましょう!
三平方の定理は以下のように表すことができます。
「∠Cが直角⇒a2+b2=c2」
ですから、三平方の定理の逆は
「a2+b2=c2⇒∠Cが直角」
となります。
この場合、三平方の定理は真の命題、三平方の定理の逆も真の命題となります。
「32+42=52⇒赤い玉のところの角は直角」
という考え方をしましたね。
つまり、三平方の定理の逆を使ったということです。
しかし、「真の命題」の「逆」が「真」でない場合もあるので注意が必要です。


命題「x>3⇒x>1」は真となります。
逆の命題「x>1⇒x>3」の真偽はどうなるでしょうか?
例えば、x=2とすると、x>1は成り立ちますが、x>3は成り立ちませんね。
ですから、逆の命題は偽となります。
このとき、反例はx=2です。


nは自然数とするとき、以下の条件の否定について考えてみましょう☆
条件「nは偶数である」
この条件の否定は「nは偶数でない」、つまり「nは奇数である」となります。
条件pの否定(pでない)はPと表します。
それでは問題です!
x>3の否定を答えてください。
x<3ではないですよ~。
答えは「xは3より大きくない」ですから、x≦3となります!
命題p⇒qがあるとき、この命題の対偶はq⇒p
となります。
このとき、対偶ともとの命題の真偽は一致します。
命題が真ならば、その対偶も真
命題が偽ならば、その対偶も偽
なのです!
具体的に考えてみましょう!
命題「p⇒q」
p:東京に住んでいる人
q:日本に住んでいる人
とします。
つまり「東京に住んでいる人 ならば 日本に住んでいる人」となるので、これは真の命題です。
では、この命題の対偶を考えてみましょう。
対偶は命題の条件を両方とも否定して、さらにその逆ですから「q⇒p」です。
ここで
q:日本に住んでいない人
p:東京に住んでいない人
ですから、
命題の対偶は「日本に住んでいない人 ならば 東京に住んでいない人」となります。
日本に住んでいないのですから、もちろん東京には住んでいませんよね。
つまり対偶は真です。
上の図のように、「p⇒q」と「q⇒p」はお互いに逆の関係となっています。
同じように「p⇒q」と「q⇒p」はお互いに対偶の関係です。
そして、逆の関係にある2つの命題は真偽が一致するとは限りません。
しかし、対偶の関係にある2つの命題の真偽は一致します。

命題「p⇒q」を証明することが難しい場合には、真偽が一致する対偶の「q⇒p」を考えてみましょう!
nが自然数のとき、命題「n2が偶数⇒nは偶数」を証明してみましょう。
n2は偶数なのでn2=2m(mは自然数)とおくことができます。
すると、n=√2mとなり…これではnが偶数か奇数かわかりませんね。
そこで登場するのが対偶です☆
対偶は「nが偶数でない⇒n2は偶数でない」つまり「nが奇数⇒n2は奇数」となりますね。
nは奇数なのでn=2m-1(mは自然数)とおきます。
すると、
n2=(2m-1)2
=4m2-4m+1
=2(2m2-2m)+1
となります。
mは自然数なので2m2-2mは整数ですから2(2m2-2m)は偶数です。
したがって2(2m2-2m)+1は奇数となりますね!
つまり、対偶「nが奇数⇒n2は奇数」は真です。
ですから、元の命題である「n2が偶数⇒nは偶数」も真であることがわかります。


命題p⇒qがあるとき、q⇒pをもとの命題の逆といいます。
それでは、三平方の定理の逆を考えてみましょう!
三平方の定理は以下のように表すことができます。
「∠Cが直角⇒a2+b2=c2」
ですから、三平方の定理の逆は
「a2+b2=c2⇒∠Cが直角」
となります。
この場合、三平方の定理は真の命題、三平方の定理の逆も真の命題となります。
「32+42=52⇒赤い玉のところの角は直角」
という考え方をしましたね。
つまり、三平方の定理の逆を使ったということです。
しかし、「真の命題」の「逆」が「真」でない場合もあるので注意が必要です。


命題「x>3⇒x>1」は真となります。
逆の命題「x>1⇒x>3」の真偽はどうなるでしょうか?
例えば、x=2とすると、x>1は成り立ちますが、x>3は成り立ちませんね。
ですから、逆の命題は偽となります。
このとき、反例はx=2です。


nは自然数とするとき、以下の条件の否定について考えてみましょう☆
条件「nは偶数である」
この条件の否定は「nは偶数でない」、つまり「nは奇数である」となります。
条件pの否定(pでない)はPと表します。
それでは問題です!
x>3の否定を答えてください。
x<3ではないですよ~。
答えは「xは3より大きくない」ですから、x≦3となります!
命題p⇒qがあるとき、この命題の対偶はq⇒p
となります。
このとき、対偶ともとの命題の真偽は一致します。
命題が真ならば、その対偶も真
命題が偽ならば、その対偶も偽
なのです!
具体的に考えてみましょう!
命題「p⇒q」
p:東京に住んでいる人
q:日本に住んでいる人
とします。
つまり「東京に住んでいる人 ならば 日本に住んでいる人」となるので、これは真の命題です。
では、この命題の対偶を考えてみましょう。
対偶は命題の条件を両方とも否定して、さらにその逆ですから「q⇒p」です。
ここで
q:日本に住んでいない人
p:東京に住んでいない人
ですから、
命題の対偶は「日本に住んでいない人 ならば 東京に住んでいない人」となります。
日本に住んでいないのですから、もちろん東京には住んでいませんよね。
つまり対偶は真です。
上の図のように、「p⇒q」と「q⇒p」はお互いに逆の関係となっています。
同じように「p⇒q」と「q⇒p」はお互いに対偶の関係です。
そして、逆の関係にある2つの命題は真偽が一致するとは限りません。
しかし、対偶の関係にある2つの命題の真偽は一致します。

命題「p⇒q」を証明することが難しい場合には、真偽が一致する対偶の「q⇒p」を考えてみましょう!
nが自然数のとき、命題「n2が偶数⇒nは偶数」を証明してみましょう。
n2は偶数なのでn2=2m(mは自然数)とおくことができます。
すると、n=√2mとなり…これではnが偶数か奇数かわかりませんね。
そこで登場するのが対偶です☆
対偶は「nが偶数でない⇒n2は偶数でない」つまり「nが奇数⇒n2は奇数」となりますね。
nは奇数なのでn=2m-1(mは自然数)とおきます。
すると、
n2=(2m-1)2
=4m2-4m+1
=2(2m2-2m)+1
となります。
mは自然数なので2m2-2mは整数ですから2(2m2-2m)は偶数です。
したがって2(2m2-2m)+1は奇数となりますね!
つまり、対偶「nが奇数⇒n2は奇数」は真です。
ですから、元の命題である「n2が偶数⇒nは偶数」も真であることがわかります。