赤道近くの低緯度では暖かく、極に近い高緯度では冷たい。当たり前のことですが、このことが大気を動かす原動力となっています。さらに地球は自転しているので、複雑な風系をつくります。今回は、地球規模の大きな気象を考えます。


18世紀、イギリスの気象学者であるジョージ・ハドレーは、地域による日射量の違いが
大気の循環をつくると考えました。
中の図、世界の日射量分布に注目すると、赤道付近の低緯度な地域では日射量が多く、
極近くの高緯度な地域では日射量が少なくなっています。
右の図、赤い線は太陽からもらうエネルギーの量を、青い線は地球から逃げていくエネルギーの量
を表わしています。
縦軸は緯度を表していて、低緯度では逃げるエネルギーより、もらうエネルギーが大きく、
逆に、高緯度ではもらうエネルギーより、逃げるエネルギーが大きくなっていることがわかります。
つまり、緯度別に考えると、熱収支は低緯度ではプラス、高緯度ではマイナスになっているのです。
しかし、低緯度地域の熱が高緯度地域へ輸送されるため、地球全体で考えると熱収支は
プラスマイナス0となります。


大気の量は、極付近でも赤道付近でも変わらないとします。
このとき、低緯度の方が気温が高いため、大気は膨張して大気の柱は高くなります。
高緯度では気温が低いため、大気は収縮して大気の柱は低くなります。
上空の気圧は、その場所よりも上にある大気の柱の量によって決まります。
大気は気圧の高いところから低いところへ流れるため、上空では、低緯度から高緯度へ風が流れます。
地上では、高緯度では周りから空気が流れ込んでくるので、空気の量が増え、気圧が高くなります。
低緯度では空気が周りに逃げていくので、空気の量が減るので、気圧は低くなります。
そのため、地上では高緯度から低緯度へと風が吹きます。
そして、これらの風の流れを補うように、高緯度では下降気流が、低緯度では上昇気流が生じます。
温度の違いが、気圧の差を生み出して、大気を動かしている。
ハドレーは、地上では、高緯度から低緯度に大気が動くので、北半球の地表では常に北風が、南半球の地表では常に南風が吹くと考えました。
しかし、実際には、いつもそのような風が吹いているわけではありません。
実は、ハドレーは、地球が自転していることによっておこる、ある効果を考えていなかったのです。
地球のように回転しているものの上で運動する物体を見ると、その運動を曲げる力があるように見えます。
これをコリオリの力といいます。
コリオリの力は、実際に存在する力ではありません。
静止した状態で、ペットボトルのキャップに穴をあけて水を飛ばすと、水はまっすぐに進みます。
しかし、左に回転する台に乗って同じように水を飛ばすと、水は右に向かって飛んでいくように見えます。
自転している地球上では、コリオリの力が生じます。
北半球ではコリオリの力は右向きに、南半球では左向きにはたらいているように見えます。
また、コリオリの力は高緯度で大きくなり、低緯度では小さくなります。


コリオリの力がはたらくと、大気の循環はどのようなものになるのでしょうか。
3つに仕切った水槽を、地球の北半球に見立てて、調べてみましょう。
真ん中の水槽に入れた水の表面が上空の大気、水槽の底に近い部分が地表の大気を表わします。
外側の水槽にはお湯を入れ、中心の水槽には氷を入れて氷水を作ります。
中心の水槽には銅板を巻いて、冷たさを伝わりやすくしてあります。
真ん中の水槽が高緯度の極地方、外側の水槽が低緯度の赤道付近を表わします。
お湯と氷水にはさまれた真ん中の水槽で、北半球の大気の循環について考えていきます。
真ん中の水槽にアルミニウムの粉を浮かせ、水槽全体を自転の方向・反時計回りにゆっくりと回して、
低緯度付近の、上空の大気のようすを観察します。
アルミの粉の動きで、赤道付近から中緯度に向かって西向きの流れができているのがわかります。
次に、水槽の底に絵具を沈めて、地表の大気のようすを観察すると、低緯度に向かって
流れができていることがわかります。
実験の結果から、北半球の風の流れを考えてみます。
赤道で温められた空気は上昇して、圏界面に沿って中緯度方向に向かいます。
そして、下降して地表付近におりると、北東の風となります。
低緯度で起こる、このような大気の循環をハドレー循環と呼びます。
中緯度では、上空で南から北へ向かう大気の流れは、右へ右へと曲げられていきます。
その結果、西から東へ向かう強い風が吹き、それがつながって一本の帯のようになります。
これをジェット気流と呼びます。
ジェット気流は、蛇行して流れながら、南へ冷たい大気を運び、北へ暖かい大気を運ぶという
熱の輸送のはたらたきをしています。
ジェット気流の南北の温度差は、私たちの住む中緯度の高気圧や低気圧のでき方とも
深く関係しています。


大気の大循環をまとめます。
・低緯度、赤道付近では、ハドレー循環が起こります。
・中緯度では、ジェット気流が蛇行します。
・極付近では、非常に冷たいことが原動力となって、地上で風が吹き出して、極循環が起こります。
では、地上ではどのような風が吹くのでしょうか。
・低緯度ではハドレー循環により、中緯度から赤道に向かう風が吹きます。この風は、コリオリの力
によって曲げられて、北半球では北東の風に、南半球では南東の風になります。
これを貿易風といいます。
・中緯度では、ハドレー循環と極循環という2つの強い循環に挟まれて、南から北に向かう風が
コリオリの力によって曲げられ、偏西風という西風になります。
中緯度の地域では、上空でも地上でも、西風が吹いているので、天気が西から変わっていきます。


18世紀、イギリスの気象学者であるジョージ・ハドレーは、地域による日射量の違いが
大気の循環をつくると考えました。
中の図、世界の日射量分布に注目すると、赤道付近の低緯度な地域では日射量が多く、
極近くの高緯度な地域では日射量が少なくなっています。
右の図、赤い線は太陽からもらうエネルギーの量を、青い線は地球から逃げていくエネルギーの量
を表わしています。
縦軸は緯度を表していて、低緯度では逃げるエネルギーより、もらうエネルギーが大きく、
逆に、高緯度ではもらうエネルギーより、逃げるエネルギーが大きくなっていることがわかります。
つまり、緯度別に考えると、熱収支は低緯度ではプラス、高緯度ではマイナスになっているのです。
しかし、低緯度地域の熱が高緯度地域へ輸送されるため、地球全体で考えると熱収支は
プラスマイナス0となります。


大気の量は、極付近でも赤道付近でも変わらないとします。
このとき、低緯度の方が気温が高いため、大気は膨張して大気の柱は高くなります。
高緯度では気温が低いため、大気は収縮して大気の柱は低くなります。
上空の気圧は、その場所よりも上にある大気の柱の量によって決まります。
大気は気圧の高いところから低いところへ流れるため、上空では、低緯度から高緯度へ風が流れます。
地上では、高緯度では周りから空気が流れ込んでくるので、空気の量が増え、気圧が高くなります。
低緯度では空気が周りに逃げていくので、空気の量が減るので、気圧は低くなります。
そのため、地上では高緯度から低緯度へと風が吹きます。
そして、これらの風の流れを補うように、高緯度では下降気流が、低緯度では上昇気流が生じます。
温度の違いが、気圧の差を生み出して、大気を動かしている。
ハドレーは、地上では、高緯度から低緯度に大気が動くので、北半球の地表では常に北風が、南半球の地表では常に南風が吹くと考えました。
しかし、実際には、いつもそのような風が吹いているわけではありません。
実は、ハドレーは、地球が自転していることによっておこる、ある効果を考えていなかったのです。
地球のように回転しているものの上で運動する物体を見ると、その運動を曲げる力があるように見えます。
これをコリオリの力といいます。
コリオリの力は、実際に存在する力ではありません。
静止した状態で、ペットボトルのキャップに穴をあけて水を飛ばすと、水はまっすぐに進みます。
しかし、左に回転する台に乗って同じように水を飛ばすと、水は右に向かって飛んでいくように見えます。
自転している地球上では、コリオリの力が生じます。
北半球ではコリオリの力は右向きに、南半球では左向きにはたらいているように見えます。
また、コリオリの力は高緯度で大きくなり、低緯度では小さくなります。


コリオリの力がはたらくと、大気の循環はどのようなものになるのでしょうか。
3つに仕切った水槽を、地球の北半球に見立てて、調べてみましょう。
真ん中の水槽に入れた水の表面が上空の大気、水槽の底に近い部分が地表の大気を表わします。
外側の水槽にはお湯を入れ、中心の水槽には氷を入れて氷水を作ります。
中心の水槽には銅板を巻いて、冷たさを伝わりやすくしてあります。
真ん中の水槽が高緯度の極地方、外側の水槽が低緯度の赤道付近を表わします。
お湯と氷水にはさまれた真ん中の水槽で、北半球の大気の循環について考えていきます。
真ん中の水槽にアルミニウムの粉を浮かせ、水槽全体を自転の方向・反時計回りにゆっくりと回して、
低緯度付近の、上空の大気のようすを観察します。
アルミの粉の動きで、赤道付近から中緯度に向かって西向きの流れができているのがわかります。
次に、水槽の底に絵具を沈めて、地表の大気のようすを観察すると、低緯度に向かって
流れができていることがわかります。
実験の結果から、北半球の風の流れを考えてみます。
赤道で温められた空気は上昇して、圏界面に沿って中緯度方向に向かいます。
そして、下降して地表付近におりると、北東の風となります。
低緯度で起こる、このような大気の循環をハドレー循環と呼びます。
中緯度では、上空で南から北へ向かう大気の流れは、右へ右へと曲げられていきます。
その結果、西から東へ向かう強い風が吹き、それがつながって一本の帯のようになります。
これをジェット気流と呼びます。
ジェット気流は、蛇行して流れながら、南へ冷たい大気を運び、北へ暖かい大気を運ぶという
熱の輸送のはたらたきをしています。
ジェット気流の南北の温度差は、私たちの住む中緯度の高気圧や低気圧のでき方とも
深く関係しています。


大気の大循環をまとめます。
・低緯度、赤道付近では、ハドレー循環が起こります。
・中緯度では、ジェット気流が蛇行します。
・極付近では、非常に冷たいことが原動力となって、地上で風が吹き出して、極循環が起こります。
では、地上ではどのような風が吹くのでしょうか。
・低緯度ではハドレー循環により、中緯度から赤道に向かう風が吹きます。この風は、コリオリの力
によって曲げられて、北半球では北東の風に、南半球では南東の風になります。
これを貿易風といいます。
・中緯度では、ハドレー循環と極循環という2つの強い循環に挟まれて、南から北に向かう風が
コリオリの力によって曲げられ、偏西風という西風になります。
中緯度の地域では、上空でも地上でも、西風が吹いているので、天気が西から変わっていきます。