【HK9S/EDUCE/004】◎アルデヒドとケトン◎ | HK5STUDIO/CONVENI

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第一級アルコールを酸化するとアルデヒド、第二級アルコールを酸化するとケトンが生じます。アルデヒドには還元性があります。また、アルデヒドは、さらに酸化されるとカルボン酸になります。ケトンは、アルデヒドのような還元性は示しません。
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アルデヒドは以前にも学習しましたが、ここでは、エタノールを酸化してアルデヒドをつくります。
らせん状に巻いた銅線を加熱すると、空気中の酸素と反応して黒っぽい酸化銅(Ⅱ)になります。
黒くなった銅線を、試験管に入れたエタノールに入れると、色が元に戻りました。
酸化銅(Ⅱ)が還元され、銅に戻ったのです。
しかし、銅線を試験管から出すと、すぐに黒くなります。
この反応を何回か繰り返した後、反応前のエタノールと反応後の液体の臭いを比べてみると、
反応後の液体は、アルコールを腐らせたような刺激のある臭いがしました。
この実験では、酸化銅(Ⅱ)は還元されて、銅になりました。
還元と酸化は同時におこります。
エタノールは酸化されて、アセトアルデヒドになったのです。
エタノールの変化を構造式で見てみましょう。
アルコールは、ヒドロキシ基 -OHを持っています。
エタノールはC原子の上下にHが2つあるので、第一級アルコールです。
以前に学習したように、アルコールの酸化は、Hを2つ奪われるということでした。
エタノールが酸化されると、-OHのHとC原子の近くのHが奪われ、右の図のようなアルデヒド基 -CHO
ができます。
アルデヒド基を持つ有機化合物のことを、アルデヒドといいます。
アルデヒドは、第一級アルコールを酸化すると生成します。
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ケトンをつくってみましょう。
試験管に入れた二クロム酸カリウム水溶液に硫酸を加えて、酸化力を高めておきます。
アルコールの2-プロパノールを加えると、濃い緑色に変化しました。
生成物を取り出すために蒸留します。
試験管に気体誘導管をつけて加熱すると、水溶液が沸騰して気体が発生します。
発生した気体を水で冷やすと、無色透明の液体になりました。
これがケトンのアセトンです。
反応前の2-プロパノールと、反応後にできたアセトンの臭いを比べてみました。
2-プロパノールは消毒薬のような、アセトンはマニキュアの除光液のような臭いがします。
この反応を構造式で考えてみましょう。
左の図、2-プロパノールは、ヒドロキシ基 -OHがついているC原子にHが一つだけついている
第二級アルコールです。
第二級アルコールの、-OHのHと、Cの上のHが奪われて酸化されると、右の図のような構造ができます。
このような構造のことをケトン基 -CO-といい、ケトン基を持つ有機化合物をケトンといいます。
ケトンは、第二級アルコールを酸化すると生成します。
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アルコールが酸化されてできるアルデヒドは、酸化されやすい物質で、さらに酸化されていきます。
アルコールの酸化はHが奪われる反応ですが、アルデヒドの酸化はOが化合する反応です。
左の図、COの横にOが入りこんで、中の図、-COOHという構造ができます。
このような構造をカルボキシ基といい、カルボキシ基を持つ化合物をカルボン酸といいます。
つまり、第一級アルコールが酸化されるとアルデヒドができ、アルデヒドがさらに酸化されると
カルボン酸になるということです。
酸化と還元は同時におこるので、アルデヒドが酸化されるとき、相手を還元する還元作用を持ちます。
フェーリング液は、銅(Ⅱ)イオンを含むので青色をしています。
フェーリング液の入った試験管を2本用意します。
一方のフェーリング液にアセトアルデヒドを加えます。
比較のために、もう一方のフェーリング液にはケトンであるアセトンを加えます。
2本の試験管を沸騰したお湯の中に入れて温めます。
すると、左の写真のように、
・左の試験管、アセトアルデヒドを入れた方は青色が赤色に変化しました。
・一方、右の試験管、アセトンを入れた方は青色のまま変化しませんでした。・アセトアルデヒドにはアルデヒド基があるので、酸化されて酢酸になりました。
このとき、青色の銅(Ⅱ)イオンが還元されて、赤色の酸化銅(Ⅰ)の沈澱ができました。
・一方、アセトンにはアルデヒド基がないので、酸化されません。
そのため、フェーリング液も酸化されないので、変化がなかったのです。
フェーリング液は、アルデヒド基があると青色から赤色に変わるので、アルデヒドの確認に使われます。
試験管の中の硝酸銀水溶液に、アンモニア水を加えると、茶色に濁りました。
さらにアンモニア水を加えると、また透明の液体になりました。
過剰にアンモニア水を加えると、一度沈澱したものが溶けて、無色透明の液体に戻るのです。
このようにして作った溶液を、アンモニア性硝酸銀水溶液といいます。
アンモニア性硝酸銀水溶液の入った試験管に、ホルムアルデヒドの水溶液であるホルマリンを加えて、
お湯で温めます。
すると、試験管の内側に黒いものがつき始め、やがて銀色になりました。
試験管の中に銀色の鏡ができました。
この実験も、アルデヒドの還元性を利用したものです。
右の図、ホルムアルデヒドにはアルデヒド基があるので、酸化されてギ酸になります。
このとき、アンモニア性硝酸銀水溶液に含まれる銀イオンが還元されて、金属の銀になって析出します。
この銀が試験管の内側について、鏡のように見えたのです。
この反応を、銀鏡反応といいます。
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ヨードホルム反応は、アルコール、ケトン、アルデヒドなどの化合物にどのような構造があるのか
を調べる反応です。
水の入った試験管を2本用意します。
一方にはアセトアルデヒド、もう一方にはホルムアルデヒドを加えます。
次に、両方の試験管にヨウ素ヨウ化カリウム水溶液を加えます。
どちらの水溶液も褐色になりました。
試験管を沸騰したお湯に入れて温めた後、水酸化ナトリウム水溶液を加えると、
・アセトアルデヒドの方は黄色く変化しました。
アセトアルデヒドは、ヨウ素と水酸化ナトリウムに反応して、ヨードホルムの黄色い沈澱が
生成したのです。
・一方、ホルムアルデヒドの方は、色がだんだん薄くなり、やがて無色透明になりました。
ホルムアルデヒドは反応を示しませんでした。
ヨードホルムの沈殿は黄色いという特徴があり、病院などでかぐような独特の臭いがします。
なぜアセトアルデヒドにだけヨードホルム反応がおきたのか、構造式で考えてみましょう。
左の図がアセトアルデヒドの構造式です。
ここにヨウ素を加えると、メチル基 CH3-の3つのHがIに置き換わります。
さらに、水酸化ナトリウム水溶液を加えると、中の図のように、COの横で結合が切断され、
ヨードホルムが生成するのです。
実は、ヨードホルム反応は、COの横にメチル基 CH3-がある場合にのみ、おこる反応です。
・アセトアルデヒドは、COの横にメチル基 CH3-を持っているのでヨードホルム反応がおきたのです。
・一方、ホルムアルデヒドは、右の図のように、COの横にメチル基 CH3-を持たないので、ヨードホルム反応がおきなかったのです。
この反応で大切なことは、「目に見えない分子の構造が、実験でわかる!」 ということです。