タネとマメ | Katoo the World

タネとマメ

日本語は数ある言語の中でも、その語彙の豊穣さ故に「最も美しい言語」と言われる。

例えば「うまい」という言葉一つ取ってみても、旨い、上手い、美味い、甘い、巧い...と、数多くの語彙がある。
この言葉それぞれのニュアンスと奥深さが、日本の日本たる文化だと思うのだ。

しかし、豊富過ぎる語彙に辟易してしまう事もある。

先日、知人とBARに行った。
知り合って間もないが、バイリンガルとして三カ国語に堪能で、頭脳明晰かつウィットに富む彼女だ。
酒も強いし、話も尽きない。

しかし、ドライマティーニを5杯空ける頃、彼女もハイパードライブで惑星オルデランの彼方に飛んで行ってしまった。

しかも、そこにあったのはかつてオルデランであったアステロイドであり、ガツンガツンとぶつかった挙句、残念ながら壊れてしまった。

「タネないか?」

タネ…か?
バラだろうか、スミレだろうか?
花の好きな女性は嫌いでは無いが、ココはBARだ。
残念ながら、タネは無いだろう。

「BARだからあるんだろうが!もしも~し!?」

ビフに虐げられるマーティーの様に頭を小突かれながら、タネについて考える。
もしかしたらツマミにヒマワリのタネがあるかもしれない。
そんな飲み方があった様な気もする。

「違うわ、バカ!マメだわ、もしも~し!?」

またしても頭を小突かれながら、マメについて考えるが、フジッコ煮や伝六マメしか思い付かず、どちらにせよBARにはそぐわない。

「こちらで、よろしいでしょうか?」

見兼ねたバーテンがミックスナッツを持って来た。
おおっ、そうか!
GJバーテン!

しかし、彼女の眉間にはマリアナ海溝よりも深くシワが寄り、怒りのままに言い放った。

「何勝手な事しとる!マメっつたら、コレだけでエエんじゃ!」

グリーンピースやピーナッツをバーテンに投げつけながら、彼女はアーモンドを食べた。

確かにアーモンドは美味い。
しかし、タネやマメからアーモンドを特定しろとは、中々無茶を仰られる。

あまつさえタネ→マメ→ミックスナッツとの連想ウルトラCをも足蹴にし、アーモンドしか食べないとは、貴女が神か?

神で無い限り、この様な傍若無人な振る舞いが許される訳が無いし、そう思わないとやってられないのだ。

かとぅ