Development of Principles for Health-related Information on Social Media: Delphi Study

J Med Internet Res 2022;24(9):e37337

 

ショートサマリー
健康情報の誤情報はSNSを介して広がる可能性があります。

今まで医療情報について評価するツールはありましたが、SNS用ではありません。
そこで、SNS上での医療情報についてそのクオリティーが評価できるPRHISMを開発しました。
方法:Delphi法でPRHISMについてコンセンサスを形成。


専門家をTwitterやメールで集め、2021年2月から5月で3つの調査を実施。

最初は文献レビューをして討論と既存の評価ツールについて検討。

その後は最初の検討した内容について再度検討し、80%以上の合意が得られた場合コンセンサスとみなし、

これをPRHISMに含めるという方法にした。

3回目の検討で最終決定し、PRHISMの説明書と採点ツールが作成され、

専門家が閲覧して最終的なフィードバックを行いました。

 

結果:34人のエキスパートが集まり、そのうち18人は3回の検討すべてに参加。

合計で13の設問がPRHISMに設定された。

最終検討でも異論はなかったと。

 

結語:13の設問がPRHISMには含まれ、採点システムと実施ツールもあります。

これにより利便性があり、透明性があり、エビデンスベースの情報が与えられ、

患者ー医師関係のサポートがよりできるようになります。

PRHISMは、ソーシャルメディア上で提供される健康関連情報の質を評価するために使用することができ、

また、コンテンツ制作者が質の高い健康関連ソーシャルメディアコンテンツを開発するときにも役立ちます。

患者が質の高い情報と低い情報を見分けるのに役立てることも可能です。

 

Webサイトを評価するツールとしてJAMA benchmarkやDISCERN、HON-codeがありますが、

これらはSNSを評価するためのものではありません。

DISCERNは書きものに対してですし、HON-codeはwebサイトのためです。

Review論文ではSNSの評価をJAMA benchmarkやDISCERNで行うことに対して警鐘を鳴らしていました。

これらのツールが開発されたのも2000年以前であり、アップデートがされていないことも注意点として書いてありました。

 

方法ですが、Delphi法という方法を使っています。

Delphi法はエキスパートが集まり対象のテーマや設問について個別に回答してもらい、

得られた結果をフィードバックして他の参加者の意見を見てもらった後、再度同じテーマについて回答してもらう。 

この過程を何度か繰り返すことにより、ある程度収束した組織的な見解を得ることを目指す方式です。

へーって思いましたが、よく考えたら乳癌学会のガイドライン作成もこのやり方でした。

 

エキスパートは健康増進の専門家、もしくは専門的な立場でSNSを使ったことがある人などが集められています。

参加資格として

(1)専門機関に登録された医療従事者

(2)医療関連分野の研究者または学者

(3)医療関連組織のコミュニケーションまたはソーシャルメディアの専門家

として、世界のどこかで3年以上働いた経験があることとなっています。

 

3回の議論でコンセンサス(80%以上の一致率がある項目)を得た項目が利用されます。

コンセンサス得られなかったら項目削除です。

スコアリングのシステムとしてはDISCERNが参考にされ、

0-4の5段階で評価する形になってます。

PRHISMが完成した後、最終的なフィードバックも専門家間で行われています。

 

結果です。

最終的に13の項目が質の高いSNSを確保するコンテンツとして残りました。

以下がSNSの情報を評価するツールです!

 

 

なんか評価結構面倒くさそう…

 

このスコアが25点以下だと情報としてダメ。

26-50点だとまずまず。

51-75点だとgood。

76-100点はexcellent。

という評価になるようです。

 

とりあえず日本語訳をつけないとだめですね。

 

Limitationとしてオーストラリア発の論文でオーストラリア出身の人が多かったという点。

またdelphi法は有効な手法ではあるけど絶対正しい項目が選ばれているという訳ではないという点。

画像ベースのコンテンツは評価できるが動画コンテンツについては言及していないという点。

このあたりが挙げられていました。

 

PRHISMはSNSの情報の質を改善させる可能性を秘めていますがこれだけでは困難だと。

一部のSNSは誤情報を削除したりして対策していますが、

なかなかファクトチェック等も難しく、その手助けになる可能性を指摘しています。

最後に、このツールの意義としては健康やメディアリテラシーを上げる基礎にしてほしいとのことでした。

 

 

やはり何事にも基準は大事ですのでこのツールが有効であることは間違いなさそうです。

ただ思うのは…1つは情報の質を評価するのは簡単な手法であるべきではないかと思うこと。

SNSは情報が次から次へと出てくるため毎回これをやっていたら全く追いつきません。

 

あとは結局闇落ちしてしまう患者さんはフィルターバブルを作っていたりすることですね。

フィルターバブルを破るような工夫をしないと結局標準治療から離れていってしまうと思うんですよね。

 

いやー、気軽に手をだした医療情報関連だけど最近難しさに直面しております。