なんだか忙しくて論文読む暇があまりない今日この頃…。
まあ土日はどっか出かけたりもしてますがね…。
質問のあったプロゲステロンと乳癌の関係についていくつか調べてみました。
ただコンセンサスはないため雑感であることと、基本的に治療につがるようなものはなかったことをはじめにお断りさせていただきます。
まず、プロゲステロンですが卵巣抑制時や閉経後でも、エストロゲン同様副腎から少量分泌はされています。
またプロゲステロンが乳癌を抑制している可能性を前回書きましたが、
これはプロゲステロンがプロゲステロン受容体に結合すると、
エストロゲン受容体にくっついて、その先の遺伝子発現を抑制しているようです。
ヒスロンH(メドロキシプロゲステロン・MPA プロゲステロン製剤)が転移再発乳癌に使用され奏効が得られる時があります。
FSH(卵胞刺激ホルモン)分泌を抑制することもあるようですが、
このエストロゲン受容体の阻害も1つの作用機序でしょうか。
またこのMPAは更年期障害に対してホルモン補充療法として使用されることがあります。
結合型エストロゲン(CEE)と併用で長期間使用すると乳癌発症リスクを増加することが、
これまでの報告でわかっています。
ただ最近の報告(PLoS ONE 13(5): e0197064 : 2018)ではCEE+MPAはむしろリスクを低下させるとしていました。
今までの報告と異なる理由としては
①以前の報告は子宮摘出を受けていた患者が対象になっていたこと。
②この報告は狭い地域での後ろ向き検討のため地域性がバイアスとしてかかること。
③CEE+MPA製剤が最近では組成が変化してきていること。
この3つを挙げていました。
と、つらつらと書きましたが報告に差がありPLoS ONEの報告だけを鵜呑みにしてはいけないし、
コンセンサスがあまり得られていない領域のため、
これ以上の自分の中で討論をしてもあまり意味はないでしょう。(勉強にはなりました)
かつこれらはあくまで乳癌罹患歴がない人の「予防」の研究であり、
この結果をそのまま「治療」に外挿してはだめです。
以上。
そんなに根詰めて調べてはいないため流し見程度にとどめておいてください。