リムパーザはどのラインで使うべきなのか

 

Annals of Oncology 30: 558–566, 2019

OlympiADの最終OS解析の論文

 

対象患者はBRCA変異陽性のHER2陰性乳癌患者で使用化学療法は2レジメン

リムパーザとTPC(ゼローダかハラヴェンかナベルビン)の比較

アンスラ/タキサンはどこかしらのタイミング((neo)adjuvantも含む)で使われていることが条件です

 

割付因子は

①転移診断後化学療法を使用しているかどうか

②luminalかTNBCか

③プラチナ使用歴があるか

クロスオーバーは許容されてません(が、別のリムパーザ以外のPARPはちょっと使われている…っても全体の1割にも満たないが)

 

Primary endpointはPFSで最初の報告ではPFS7.0ヶ月vs4.2ヶ月, HR0.58を叩き出しリムパーザが有効

奏効率も6割とかなりの数字を叩き出しました

しかしOSは19.3ヶ月vs17.1ヶ月, HR 0.90と差が出ませんでした

なんとなくアバスチンと同じような印象を受けます

 

そんな中で割付因子だった3つについて見てみると、

転移巣に対して化学療法がまだ使われていない状況だとHR 0.51でリムパーザの方が明らかに良好という結果でした

1レジメンでも入るとおそらく有意な値ではないですがHR1.13と若干リムパーザの方が下を行っています

 

Primary endpointではないため参考程度になるとは思われますが、

明らかにK-M開いているし正しいデータと思われます

 

分子標的薬は早く入れないと効果が薄れると聞きました

というのも化学療法などが加わって耐性化するとBRCA以外のmutationが加わり、

pureにBRCA変異に対して働いてくれない。ということらしいです

基礎の文献まで見たわけではないですが確かにそういわれると納得

 

他の割付因子のluminal, TNBCではともに差はないです

luminalの場合21.8ヶ月vs21.3ヶ月でほぼ変わりなし

TNBCの場合17.4ヶ月vs14.9ヶ月

luminalの場合最低でも1レジメン内分泌療法が入っているようですがCDK4/6についての明言がされてません

多分2017年という時期的にも使ってない症例がほとんどじゃないかと

てことでluminalの場合CDK4/6使用すればolaparibの出番は後の方になりそうな気がします

 

となるとオラパリブの出番は

TNBCのA-T以外使用していない1st line

TNBCのlife-threatening(奏効を期待して)

この2つですかね

 

そもそもBRCA陽性乳癌が少ないのでガンガン使う薬ではないのかなと思います

使うタイミングがあれば積極的に使いたいんですが、

1人使った方は嘔気が強くてすぐに中止になりました

 

1-2ヶ月ほどで耐性がついてくる(貧血も)ようで、

支持療法としてはオランザピンがいいようです

 

2021/12/13追記

ホルモン陽性でもCDK既治療、もしくは無効例で化学療法選択前にオラパリブは良い選択肢かと考え直しました