人工股関節の手術を受けたあと、
「脱臼しやすくなるのでは?」
と心配される方は多いです。
実際のところ、どのくらいの割合で脱臼が起こるのでしょうか。
日本国内のデータをもとに整理してみます。
日本での脱臼率の目安
国内の病院や研究報告を見てみると、
人工股関節置換術(THA)の術後脱臼率はおおよそ
0.5〜3%前後
とされています。
つまり100人に1〜3人ほどの割合です。
ただし、再手術(再置換)を行った場合や、
先天的な脱臼などの既往があるなど関節の状態によっては
5〜10%程度に上がることもあるようです。
施設や手術法によって違いがある
脱臼率はどの病院でも同じというわけではありません。
人工関節の大きさ、設置の角度、手術の方法、
そして術者の経験によっても変わります。
また、後方から行う手術では脱臼のリスクがやや高く、
最近では前方や側方アプローチを採用する施設も増えています。
脱臼が起きやすい時期と原因
脱臼は手術直後から3か月以内に起こることが多いとされています。
この時期はまだ筋肉や軟部組織が安定していないため、
過度に股関節を曲げたり、ねじる動きに注意が必要です。
また、次のような条件でも脱臼リスクは高まります。
・高齢で筋力が弱い
・神経や筋の病気がある
・認知症やバランス障害がある
・過去に手術を受けている
安心して過ごすために
多くの方は手術後しっかりとリハビリを行えば
脱臼することなく日常生活を送ることができます。
最近では手術技術や人工関節の精度も向上し、
脱臼率は年々低下しています。
もし不安がある場合は、
担当の先生に「この病院での脱臼率」や
「気をつけるべき動作」を聞いてみると安心です。
人工股関節の手術は、
痛みの改善と生活の質を大きく変える力があります。
手術後の経過やリハビリを理解して、
無理のない範囲で体を動かしていくことが大切です。