股関節の動きは「筋肉」だけではない
股関節の動きを考えると、多くの方は「筋肉」をイメージされると思います。
 
確かに筋肉が伸び縮みすることで関節が動きます。
 
しかし実際には神経の働きがその前提として欠かせません。
脳からの「動け」という信号が神経を通って筋肉に伝わり、はじめて動作が生まれます。
逆に神経の伝達が鈍ると筋肉が思うように働かず、動きがぎこちなくなったり、痛みを感じやすくなったりします。
神経と筋肉の「協調」が鍵
最近の研究では股関節痛をもつ人では、運動神経と感覚神経の連携が乱れていることが報告されています。
たとえば、オーストラリアの研究では変形性股関節症の患者では「大腿四頭筋や中臀筋などの反応時間が遅くなる」ことが示されています。
 
これは単に筋肉が弱いのではなく、神経系による制御が低下していることを意味します。
神経がうまく働かないとどうなる?
神経系の反応が鈍くなると、次のような現象が起こります。
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動き始めが遅い
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歩行中の「踏ん張り」が効かない
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無意識のうちにバランスを崩す
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体の一部に「遅れ」や「タイムラグ」を感じる
 
こうした感覚は、股関節だけでなく膝や腰にも波及しやすく、全身の連動性に影響します。
痛みと神経の関係
慢性的な痛みが続くと、神経の興奮が持続し、脳が痛みに過敏に反応するようになります。
 
この現象を「中枢性感作」と呼びます。
 
つまり、神経系のバランスが崩れることで痛みの感じ方そのものが変化してしまうのです。
まとめ
股関節の機能を保つには筋肉だけでなく神経系の働きを整えることが大切です。
 
深部感覚 → バランス感覚 → 神経系という流れで、体は常に情報を統合しながら動いています。
痛みがあるからといって「動かさない」よりも、神経の働きを保つための刺激を与えることが将来的な機能維持につながります。