神曲《地上篇》

神曲《地上篇》

今はまだ、闇に先立つ黄昏の刻、
汝の魂、いまも地上に留まりし時。

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深夜の地下鉄。
僕の向かいに座って本を読んでいた男がいた。
40代後半か、あるいは50代のサラリーマン。
本のカバーには確かこういうタイトルがついていた。
『取締役になる人、部長・課長で終わる人』
熱心に読んでいるところを悪いと思ったけれども、
僕はその人にこう話しかけてみた。
「その本のどこにも書かれていないけれど、一番重要なこと。わかります?」
男は驚いたそぶりを見せながら「わからない」と言った。
それで僕はこう答えた。
「つまり、【取締役になる人は、その本を読まない】っていうことなんだ」

もちろん、それは僕の心の中だけでの会話だ。
もしリアルにそう話していたとしたら、
たぶん僕は彼の「首締められ役」になっていたと思うけれど。