きみの名前は 直樹(なおき) 辻村直樹と 言います
そして うちは 浜町 三春 と 言います
きみは売れない童話作家・・・
うちは しがない OL・・・同棲して はや10年がたとうとしています
表題の桜は オオシマ桜で 彼の家のお墓の真上におじいちゃんが
植えたそうです。
もちろんお寺の許可も頂いているし 何より墓地そのものがの敷地ですから
遠慮はせずに 植えたそうです
もうすぐ100年にはなるそうで お爺ちゃんの さらにおじいさんが 植えさせた
そうです。
今では立派な大木になって 立派に白い花をモリモリ咲かせています。
きみはこの木が大変好きでした。
亡くなる前の年 12月のXmas いつもはうちが買ってくる小さなケーキと
スパークリングワインの小瓶 それと小さなローストチキンで 二人だけの
ささやかな Xmasイブを過ごしていましたが
その年だけは 前の晩に 今年のXmasイブは 表で クリスマスデートを
しようと 言い出したのです。
「えっ?? どうしたの急に」
うちが驚く顔を ニコニコ笑いながら
「実は半年前に 書いた童話が 出版社に売れてね 少しお金が入ったから
クリスマスデートをサプライズで用意したんだ」
「驚いたかい」
うちは 嬉しくて涙があふれるのを止めることが出来ませんでした。
「三春のその顔が観たかったんだ」
そう 君は言って 片目をつぶり ウインクして見せた。
本当に心の底から やったねと 思いました。
何年間も 童話は一つも売れず 生活は うちが支えてきましたから
喜びはひとしをでした。
童話の題は「ぼくの おもちゃばこ」 です。
自分の幼い時の体験をもとにしているみたいです。
それでね「レストランと レンタカーと ホテルも用意したから
明日仕事が終わったら 一度家に帰ってきて 着替えて 出かけよう♫」
きみも ファストフードで バイトをしていたから
うちはうなずくと 嬉しくて 君に抱きつきました。
かれは 優しく抱きしめてくれました。
言うまでもなく 二度とない素敵なXmas 朝から降り出した雨は
白い雪に変わり それも都内では珍しく アスピリンsnowのような
白い粉雪 レンタカーをキャンセルして 歩いて 小さなレストランについた
時は二人とも 雪まみれになっていましたが あの雪は あまり濡れない雪
でしたね。
最高に幸せなメリークリスマス でした。
翌年の春に桜が咲く下で 血液のがん白血病で 急逝するとは
二人ともつゆ知らず 幸せなひと時でした。
あれから何年もたち 良い人を見つけてね といった 彼の言葉には 今も従っていません
忘れられるはずがありません。
今年もまた 一人で 紅茶とショートケーキで ホワイトクリスマスを 過ごしましょう♡
ホワイト Xmas 素敵なXmasになりますように みはる 花村