風もないのに
木の葉が落ちてくる
次から次と
落ちてくる
雨の夜が明けると
歩道は濡れて落ちた
落ち葉がまるで
じゅうたんのような
緋毛氈のような
色に変わっていた
秋が深まり
木の葉を踏んで歩くことが
増えてくる
木の葉を踏む
カサこそという音を聞いていると
故郷の雑木林の中の小道を
くるぶしまで落ち葉に埋もれながら
歩いた記憶が
よみがえってくる
山登りでカラマツ林の
中の道が
落ちたカラマツの細かい葉が
一面に敷き詰められた
ふかふかの地面の道を
思い出す
これから雪が来る前の
至福のひと時だった
今は落ち葉を踏みしめながら
気軽に歩ける道は
少ない・・・
心の中には
ありありと
その道が
見えるのに・・・