北の故郷に住む

君に

南からの 風に

乗せて

春を

送りたい

地震にも

津波にも

被害は 無かったけれど

故郷は今

原発の 放射能に

曝されている

幸いと 言えるかどうか

解らないけど

避難地域には

入って いないけど

放射能値は

確実に 上がってる

やっと 繋がった

携帯の 向こうの

君の 声は 元気が

無かった

十年振りに 聞く

君の声は

弱々しかった

避難しないの

と 聞いたら

怒った声で

俺は ここから

離れない

牛を見捨てて

逃げられるか

そう 怒鳴った

君は 大規模 酪農家

だった

聞きながら うちは

今 それを 思い出した

それから

君が タキザクラ 保存会の

メンバーで 有ることも

今年も タキザクラは

咲いて くれるのだろうか

元気でね、と 言うのが

精一杯の うちは 情けなかった

そうだ もう西の方では

ソメイヨシノが 開花

したと いう

せめて 南の風に乗せて

桜の花びらを 飛ばそう

想いを込めて

花びらを 贈ろう

まだ残っている

胸の 想いを

愛を 込めて

君に 届け...桜だより