なおちゃん ワシの歳をいくつだと思う(樹齢のこと)
うーん100歳くらい・・・幹回りが3メートル以上ありそうだし
高さも30メートル以上あるでしょ…となおちゃんが答えると
ブナの老木は はっはっはっ…と笑いながら…そんなに若く見られて
嬉しいよと言いました
わしはね…樹齢450年位生きてるんじゃ…もっとも間もなく寿命で
倒れることになっとるんだけどね・・・と また少し笑った
この周辺のブナの仲間は…みな200年以上の樹齢だよ…となおちゃんに
教えてくれました
それでね古木は続けた・・・四半世紀前まではブナの森と
人間は持ちつ持たれつで良い関係だった
けれど近代になって…経済効果を測るという人間の浅はかな
考えでブナの森は伐採されて・・・相当な数がなくなつてしまった
まあそれはいい・・・ただし以前のようにわれわれブナの木が
山の水がめとして人間の役に立てることはできなくなるかもしれないよ
今日来てもらったのは…そのことではないんだ
今の話は…なおちゃんの 心の中にしまっておいておくれ
ブナの老木は まだ話を続けました
実はねわしは 時間をたどることが出来るようになったんだ
そして未来を見てしまった
8年後の8月の第2日曜日に 遊星が地球に接近してきて
第5惑星があったところの小惑星に衝突し…その破片が
地球に降り注ぐんじゃよ・・・そのおかげで地球のある地域は
全滅するんじゃよ
幸い日本ではないけれどね・・・だからなおちゃんに来てもらったんじゃ
8年後というとなおちゃんは高校1年生くらいかな…となおちゃんは思った
まだブナの老木の話は続いている
ワシには何もできない…たぶんなおちゃんにも無理だろうね
只記憶に残しておいてほしい…聞いてくれる・・・信じてくれる人が
欲しかったんじゃ
幸いなおちゃんは不思議な能力があるらしいから
その出来事を・・・しっかりと見つめてほしい
それだけを伝えたかったんじゃよ…今までの話 わかったかな
なおちゃんが うなずくと ブナの老木は 満足そうな声を出した
よかった・・・
じゃあ要件はすんだから・・・送ってあげるよ…明日またおじいちゃんたちと
会いにおいで…さあ枝に乗って・・・送るよ
また老木はなおちゃんを枝に乗せるとひゅうひゅうと
音を立てて 歩き出して…あっという間に元の場所に たどり着いた
じゃあまたな・・・老木はなおちゃんのパパの運転する車の中に
なおちゃんを 乗せると 飛ぶように 去って行きました
あれ・・・なおちゃんは車のなかで目を覚ました・・・
夢見てたのかなぁー・・・あれは夢の中の出来事だったのかな
それにしては凄くリアルだったな・・・少し寝ぼけているような
感覚でした・・・
さて本当のブナの森には、まだなおちゃんたち家族とも・・・ついておりません
次の日ブナの森の中で見たものは・・・不思議な体験はまだ続きます
次回をお楽しみに… 花村 美春