映画#25-03 孤独のグルメ劇場版 | なんのこっちゃホイ!

なんのこっちゃホイ!

世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

 

TVシリーズの孤独のグルメは、かなりの頻度で観ている。

何しろ、TV東京にチャネルを合わせると、なぜか必ずやっているんだ。

1話完結の30分番組だから、シーズンいくつの何話かなんて関係ないので、どこからでも観る。

松重豊は、ヤクザ役をやらせたら迫力満点の脇役スターだったのに、このシリーズではスーツを着用し、あのいかつい顔に笑顔を浮かべて、お客に対応している。彼は雑貨専門の貿易商を個人事業でやっている。

日本各地に仕事で呼ばれて、いろんな場所で非常に短い商談を終えると「腹が・・・減った・・・」ピンポンパーンみたいな引きの映像になり、ぽかーんと口を半開きにした松重豊が立ち尽くしている。

「そうだ、店を探そう」と、特に有名店でもないが、自分の勘やフィーリングを頼りに、飛び込みで飯を食う。これが、様々な土地の有名料理?なんかじゃなくて、どこにでもあるような、焼き魚だったり、ハンバーグだったり、生姜焼きだったりするから楽しい。これが有名な3つ星の料理なんかだったら白けてしまうが、庶民料理だから楽しいのだ。

 

さてそのシリーズ最終版とでもいうか、遂にというか、劇場版が公開されたので観てきた。

今回は、いきなりJALの機内でどうやらロングフライトで、機内食を2食も食べ損ねるところから始まる。

到着したのは、フランス、花の都パリ。

彼はかつての恋人で、共にパリで生活した小雪の娘の千秋(杏)から依頼を受けた絵画を届けにやってきたのだ。

千秋の祖父、一郎に絵画を手渡したところで、この老人が「ついでと言ってはなんだが、忘れられない汁がある。死ぬ前にもう一度、その汁を飲みたい」と言い出し、またしても引っ込みがつかなくなった五郎(松重豊)は、4つのヒントを元に食材探しの旅にでる。その旅は、フランスに始まり、韓国、五島列島、東京と国際的な展開をみせる。五島列島で台風にあって、宿のある島へ渡る船が出航してしまい、乗り遅れた五郎は、パドルボードにのって、島を目指す。しかし台風は勢力を強め、ついに彼は海へ投げ出されてしまう。気がつけば、そこは無人島。と思いきや、都合良く調理器具が置いてあり、海でとった食材で「五郎鍋」をたのしむが、どうやらキノコにあたったか、痙攣して気を失う。再び目覚めれば、そこは韓国語を話す軍事基地のような一室。かと思えば、韓国男性に失望した女達が集まり料理を研究する施設であった。そこで日本人の志穂(内田有紀)に出会う。内田有紀、最高に綺麗だなぁ。もう彼女を観られただけで満足だ。そこで、スープの話をすると、彼女はいくつかの食材をあげ、島で採れたという材料を用意してくれる。韓国には不法入国の体裁なので、船で本土へ渡り、入国審査官を待つ間、またもや腹が減った五郎は、ハングルは読めないものの、鯖の塩焼きの写真に釣られて店内へ。そこで食べるものが、決して贅沢ではないが、とても旨そうだ。

 

どうやってもらった食材を日本に持ち込んだのか、日本の税関は何も言わなかったのかは知らないふりをして、史穂の別れた主人の潰れかけたラーメン屋の偏屈おやじ(オダギリジョー)に頼んで、ついに幻のスープを完成させ、それでラーメンをすする。

 

さて、いつもこのドラマを観て思うのは、料理は旨そうだが、松重豊の食べ方が汚い。いや、見苦しいという方がいいのかなぁ。どこがと言われると、うまく説明できないのだが、なんだか貧しい育ちがうかがえるような食べ方。空腹に耐えられないのだから、そういう食べ方を演じているんだと言えばそうかもしれないし、松重豊と飯を食ったことがないのでわからんが。今作でも、パリの小さなレストランで、肉料理を食べる。白い飯がないんだから仕方ないと、パンをちぎってその上に肉をのせて、汁を垂らして大口をあけて頬張るシーンがある。これが僕には大いに違和感がある。マナーがどうとか、エチケットがどうとか、そんな話ではないが、この映画を観た人が、海外であの食べ方をしないよう、心から祈る。間違いなく「日本人は変な奴」と思われる。パンで残ったソースを皿を拭うようにして食べることはある。これはソースが旨かったことの証でもあり、シェフへの賞賛でもある。パンをちぎってスープや飲み物に少し浸して食べるのもよく見かける。しかし、料理を切って、パンにのせ、そこにソースを垂らして一口で食うなど、みたことがない。それは例えば、CoCo壱番屋の店の中で、いきなりインドの人が手づかみでカレーをライスと混ぜて器用に親指で口中に押し出すのを見た日本人が、唖然としてしばし呆然とするのに似ている。決して、いけないというのではない。が、その国には国の食べ方があるので、やっぱりあの食べ方は止めた方がいいな。よい子はマネをしないでね。

 

細かな設定に無理があるが、それは松重豊の脚本なんだから、まぁ、いいとして、孤独のグルメらしさというか、そういうものが、初期の頃と比べると別物になっている気がする。シーズンが進めば、中身も変わる。スタイルは守りながら、こういう孤独のグルメもあるんだよってことで、大変楽しめたので満足。