
医薬品開発会社に勤める主人公は、失われた脳の機能を、脳が自ら修復する事ができる新薬を開発した。実験に使われたのは、普通のチンパンジー。その中の一匹が異常に知能が発達し、人間の子供にも匹敵する知性を示した。この新薬は、アルツハイマーを撲滅させるかも知れない可能性を持っている。早速投資家の前でプレゼンを始めた矢先、そのチンパンジーが狂暴性を発揮して、遂には射殺されてしまう。

失意の科学者の前に、何と生まれたばかりのチンパンジーの子どもが。あのチンパンジーは子供を守ろうとして暴れただけなんだ。そして、自宅で介護している実の父、アルツハイマーの父に、その薬、ALZ112を投与した。翌日、父親は回復し、職業であったピアノを完全に演奏し、以前よりも技能をあげたかの様だった。やはりこの薬は効果があるんだ。
それから五年の月日がたち、シーザーと名付けられたチンパンジーは、立派に成長していた。しかも知能は大いに発達し、人間と同じように、手話で会話するまでに。
ある日父親が、隣に住むパイロットといざこざを起こしてしまう。ALZ112に対する抗体を体が作り出し猛烈な攻撃を始めたのだ。父は、以前よりアルツハイマーの症状が悪化していた。隣人のパイロットが人差し指をつきだして、父親を責めている。これを見たシーザーは遂に表に飛び出し、パイロットに飛びかかった。
人間を傷つけあ動物は裁判所の判断が出るまで、政府の施設で飼われる。家を出たことのないシーザーあ、泣いて抵抗するがどうしようもない。そしてシーザーは、周囲のチンパンジーにいじめられ、看守からも虐待されて、心の様子を変えていく。我々は一匹では弱い。だが集まれば力を持てる。そう考えたシーザーは、周囲のチンパンジー達を手なずけ脅して、仲間にしていく。「だがわしらはバカだ」と一匹の猿が彼に呟いた。施設を脱出したシーザーは、ALZ 112を求めてGensyc社へ押し入る。だがそこには、更に進化し、強力になったALZ113が置かれていた。これを含んだガスを、檻の中にシーザーはまいた。翌日、全ての猿の表情が変わっていた。全ての猿の目に、知性が宿り、彼らはシーザーをリーダーとして、ひとつの軍団を形成した。彼らの望みは、森に帰り、そこで暮らすこと。ゴールデン・ゲートブリッジを越えた森を目指す猿の軍団。これをなんとしても阻止し、皆殺しを企む警察。遂に戦闘の幕は切られた。
新薬ALZ113には、ある重大な問題があった。それは、猿には免疫のあるウィルスに対して、人間の免疫を限りなくゼロのしてしまうこと。この新薬を誤って吸ってしまったフランクは遂に発病。科学者にその事を伝えようと自宅を訪ねたが留守。そこであの憎き隣人パイロットに会い、くしゃみをしてしまう。小さな血が、パイロットの服に飛び散った。翌日、フランクは自室で死んでいた。
猿の軍団は、恐るべき戦略とシーザーの下、一団となって人間と戦い、遂に橋を渡り、森にたどり着く。そしてシーザーは、彼を育ててくれた科学者の耳元で、「シーザーは、もういえにいる」とはっきりと喋った。
一方、フランクに血の飛沫をかけられたパイロットは、何も知らずに空港にいる。彼の左の鼻から鼻血が。熱っぽく、うっすらと汗をかいている彼は、恐怖のウイルスを身にまとい、音の早さで国境を超える。誰も免疫を持っていないウイルスが、世界中に拡散する事になる。
さて、最後に残るのは、誰か・・・
きっと続編ができそうな終わりかただった。
ストーリーも面白く息をつく暇もない。メークの技術や科学の進歩でCGで描かれる猿の表情の豊かでリアルなことと言ったら!後半、シーザーが脱出を決意した後からの表情の、凛々しくて賢い、そういう目をしている。
素晴らしい作品だと思う。
★★★★★