【映画05】マイレージ・マイライフ | なんのこっちゃホイ!

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世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

$これでいいのか!?こんなことでいいのか!?

1年の内、320日以上を出張して生活しているライアンの職業は、リストラ請負人。どんどん悪化するアメリカ経済のニュースや情報を得て、がぜん活気づく業界だ。

彼は、都市から都市、街から街へと旅をして、行く先々の企業で管理職に代わり、社員のクビを切っていく。泣き出す社員、理不尽だと喚きだす出す人、机を叩き、イスを蹴倒して出て行く人。反応はいろいろだが、彼の仕事は、首を宣告し、さらに次の人生をスタートさせるため、自社のプログラムに参加させることだ。

もちろん、彼はマイレージをたくさん持っている。飛行機だけじゃない。ホテルのメンバー(もちろんゴールド)、レンタカーのメンバー(もちろんプラチナ)、ありとあらゆるメンバーシップを持っている。そらそうだ、かれは自分の家で、わずかに40日しか過ごさないのだから。

そんなある夜、滞在先のホテルのバーで、魅力的な女性に出会う。彼女の名前はアレックス。彼女もまた、全米を飛び回る、出張ウーマンであった。お互いのメンバーカードを見せあいながら、打ち解けた二人は、一夜を共にし、次の出会いを出張スケジュールと相談しながら決めている。
「私は、カジュアルは女よ。気がむいたり、会いたくなったらメールして」

そんなライアンに、本社へ召集がかかる。
本社の会議室には、まさに新卒の女性が、新しいシステムについて説明をしている。
「これからは出張はなくなります。効率が悪いし、コストがかかりすぎる。今後は、Web会議を利用します。このように、画面に相手を映します。こちらの表情も相手は見えます。こうして、クビを宣告すれば、コストもかかりませんし、何より皆さんを、家に帰せます」

これにはライアンは猛反対をする。
「そこにいるのは生身の人間だ。痛みもあれば、苦しもあるんだ。それを、TV画面でやるというのか?」
「ええ、私は心理学を専攻しました」
「よし、じゃやってみろ。俺にクビを宣告してみろ!」
彼女は失敗する。
勝ち誇ったライアンに、ボスが言う。
「彼女を教育しろ。すぐに、今スグにだ!」

こうして、ライアンは新卒のナタリーを連れて、リストラ宣告の旅を続けることになった。

ライアンは同時に、講師の仕事もやっている。「バックパックに入る物」という題名の講演を、各地で開催し、評判もいい。
「バックパックに入るものだけを持っていきましょう。全てを背負う必要はないのです」
彼にとって、最も重荷となっていたのは、他人との人間関係であった。

妹の結婚、アレックスの真実、ナタリーの苦悩を描きながら、物語は進んでいきます。

最近、IP電話の普及や技術の進歩で、僕自身も物理的な出張は、劇的に減りました。FY08とFY09を比較するだけでも、日数においては、僅かに12%。経費においては8%程度しか、海外出張をしませんでした。それは、物理的に飛んでいかなくても、ビデオ会議で顔を合わせながら話ができたり、電話会議で、最大12名までが一度に参加できたり、WEB会議では、パワーポイントの資料を、世界中の離れた人たち30名までが同時に参照しながら、電話会議をできたりできるようになったからです。またCO2の排出削減もあり、企業は出張を激減させています。出張の日数と、実績の間にどのような相関関係が成り立つのか、非常に興味のあるところですが、恐らくないでしょう。

ただこの映画を見て思いましたが、やはり人間の感情、繋がり、関係というものは、触れ合うこと、呼吸を図り合うことで成立しているような気がします。何でもかんでも、効率という名の元に、合理的には解決できないのです。減るとはいえ、やはり出張は大事です。1VS1の話し合いであっても、お客様を訪問し、様々な問題や課題をヒアリングし、ソリューションを提案する。これは、やはりバーチャルにはできないことなんだと思います。むしろ、合同会議のようなものこそ、効率化されるべきなのではないでしょうか。

もう一つ思ったことがあります。
クルーニーが、新卒のナタリーに、結婚についての説明をしろと求めるシーンがあります。その時、彼は英語で「Ok, sell marriage!」といいます。とっても面白い表現で、このSELLで多くのことを説明しています。①説明 ②説得 ③納得と合意。これらを、たったの一言で表現してしまっています。すごいなぁ~と感心しました。僕も、早速使ってみようと思います。

そして新卒のナタリーがライアンに聞きます。
「どうしてそんなにマイルを貯めるの?ハワイにでも行きたいの?」
「そうじゃないんだ。目標があるんだ」
「どんな目標?」
「1000万マイル飛ぶんだ」
「それが何なの?飛んだらどうなるの?」
「分からない。だが、それが目標なんだ」
そうなんで。航空会社のマイルにしても、スーパーのポイントにしても。貯めることに意義や意味を見出してしまうのが、悲しい人間の性。日本人は世界中でも、特にこの性が強いそうです。109シネマズでは、映画を一本見ると1000ポイントもらえます。6000ポイントで、1回映画がタダで見られます。僕は何故か26,000ポイントも持っています。妻は恐らく30,000ポイントを超えているでしょう。なのに、やっぱりお金を払って映画を見ます。そして、どちらのカードにポイントを貯めるか、小さなもめ事を起こします。だったら、使えばいいのです。ポイントを。6000ポイントになったら、次の映画を無料で見ればいいのに、なぜかまたお金を払ってポイントをためます。
僕は、一人で映画を見に行く時や、お金を払ってまでみたいと思わない映画を観る時に、ポイントを使います。
そう、この映画はポイントで観ました。