もう、全国ツアーはこれで最後にします。
ええ、もう身体がついていけないのです。
そう宣言し、「ガンバラないけど、いいでしょう」なんて歌をリリースした吉田拓郎さん。最後のひと夏の全国ツアーを12か所企画し、順調にスタートしたものの、途中で体調不良をおこして断念。結局は4つやって終わってしまった最後の全国ツアーでした。
何しろ、1枚1万円のチケットが、プレミアが付いて、ネットでは10数万円台で取引されていたといほどの人気チケットでありました。キャンセル、払い戻しは1万円ですから、10数万円で買った人は、大変な損失を被ったことになります。
それはそれとして、やっぱりファンとしてはどうしても観たいところです。
そこで、発売しました3枚組のCD+DVDが1枚ついています。
早速買って、聞いてみました。
もう、これはコンサートそのままです。どこもカットされてない。
拓郎のライブ・アルバムで恐らく最高の質を誇るのは、Live'73でしょう。あの「落陽」を収録した中野サンプラザのライブです。それ以前の拓郎のライブは、どこか稚拙で、ミュージシャンというよりは、ラジオのパーソナリティーみたいなライブばかりで、本人もLive'73のカバーの中で「最近はライブ・アルバムに自信をなくしていた」と語っています。Live'73では、ほとんどMCを入れず、しっかりと楽曲を全面に出し、そのステージの熱を伝えることに成功していました。その後、ライブのDVDは何枚も発売されましたが、全てMCはカットされ、歌だけのものばかりでした。
拓郎のステージを見たことのある人はわかると思いますが、拓郎のステージでのMCはなかなか面白いです。ラジオもやってましたから、それなりに話術も鍛えたのでしょうか。何となく、拓郎の周辺の生活感が漂うようなお話が多くて、毎回とっても楽しみです。
今回の3枚組CDでは、拓郎のMCがたっぷり聴けます。恐らくカットなしで全部収録したのではないでしょうか。
あまりきばらず、とっても気楽に、楽しそうにやっている拓郎の笑顔が浮かぶような内容です。曲目も、昔の懐かしいアルバムから選ばれた、これまであまりステージでやらなかったような「明日の前に」や、「加川良の手紙」なんかが演奏されています。おなじみの歌も一杯出てきますが、今回は「落陽」はありません。本人もMCでいっていますが、「みんなを総立ちにする歌と言えば、いつものあれだろう!そうなんだよ、悪かったよ!いつものあれなんだよ!春だったね!」ということで、落陽はやらずに春だったねをやってます。
31曲、2時間半の長いCDですが、これは確かに、コンサートに行けなかった人も、これを聞いたら臨場感一杯に楽しめると思います。
同時に、「くそー!拓郎めえ~!なんで最後までガンバラなかったんじゃ!」という怒りも湧き上がることでしょう。でもね、「ガンバレないけどいいでしょ?」って、予め念を押されちゃってますから・・・・