NHKで様々な賞を獲得したドラマの映画化。
ドラマでは、主人公の鷲津率いるWashizu Fundが、様々な手法を屈指して、日本を買い叩く。「金を儲けて、何が悪い。それが資本主義だ」とうそぶきながら、ある時は天使の顔をした経済的支援者、ある時は、悪魔の顔で会社を買い叩き、たった200万円で人を死に追いやった。人々はこの投資FUNDを「ハゲタカ」と呼んだ。死肉を漁るがごとく、金に群がる奴らとして、マスコミも彼らをバッシングし、そしてついに、鷲津はそんな日本に愛想をつかせて、日本を去る。巨額の利益を手に入れて。
この映画では、鷲津はアジア(たぶんマレーシアじゃないかと)のリゾートで、昼間から酒びたりの日々を送っている。そこへ、元銀行の先輩社員であった、芝野が現れて、力を貸してくれと申し入れる。日本の資本主義を嘆く鷲津に、「そんな市場にしたのは、俺たちだ。そんな国にしたのも、俺たちじゃないか!」と訴える。
芝野の誘いに心を動かされた鷲津は、ついに日本の土を踏む。成田空港の大画面TVで見たニュースには、劉一華という中国人が、Fundを率いて日本を代表する自動車会社AKAGI自動車への敵対的買収を発表している場面だった。AKAGI自動車から依頼を受けて、ホワイトナイトとなりAKAGI自動車を助けることを引き受けた鷲津。
そして、鷲津と劉の、大金を賭けた壮絶な戦いが始まった。
中国の資本が日本を買い叩くというシナリオは、必ずしも「映画」としては観られない。現実に、これはあるんじゃないだろうか。映画の冒頭、中国政府系FUNDのトップが、「中国には金もあり、人もいるが、日本のように技術がない。いつまでも、世界の下請け工場に甘んじてはいられない。日本を買い叩くのだ」という指示は、妙に現実味を帯びていたように思う。
世界不況のあおりを受けて、株価低迷(若干戻してはきたが)が続く日本。技術のある上場企業は、十分に注意をしないと、この映画のように、あからさまに買収を仕掛けてくるとは限らない。気がついた、本当に中国に買われてしまっているかもしれませんぞ!
西野、三島由香