フィリピン沖で台風23号が発生、みるみる勢力を強め、日本へ向かっている。この台風の動きを気にしていたのは、気象学者の玉城だった。
彼は、荒川の氾濫を想定した東京都の防災対策マニュアルを作成し、くしくも学会へ発表しようとしていたところだった。そのマニュアルが流出し、関係者の間では、評判を呼んでいた。
そんな玉城がふと漏らした言葉、
「この台風は、日本をかすって、南へ向かうだろうが、再び勢力を強めて、帰ってくるかもしれない。その時には、甚大な被害をもたらすだろう」
その言葉どうりに、台風は沖縄に上陸し九州をかすり、コースを南東へかえ、日本から遠ざかった。
が!!そのコースの先には、できたばかりの台風24号がいた。この2つの台風が合体したら、中心気圧800ヘクトパスカル、瞬間最大風速82キロメートルという、史上最大の台風になる。
果たして玉城のシミュレーションの通り、大陸側の前線に引かれるように、コースを北に取った巨大台風。このままでは、東京を直撃する。半径500キロの巨大台風は、その触手を伸ばし、東京に届くまで、後、8時間。
巨大台風が東京に上陸するとどうなるか、東京の弱点は何か。その弱点に対して対策の遅れと難しさ。そんな事がリアルに描かれる。