高速道路はどこも渋滞していた。77KMなんていう、気が狂ったような渋滞もあった。そしていよいよGWも最終日を迎えて、Uターンラッシュもピークを迎えている。
今回の渋滞の主な原因は、麻生政権が打ち出した「休日割引制度」による、「日本列島どこまで行っても(一部を除き)1,000円乗り放題!」政策によるものである。これほどの車がこれほどの渋滞に巻き込まれた場合、どれくらいのCO2を排出してしまったのであろうか。京都議定書なんてものがあるんだが、それは麻生や官僚の中では、もう終わった話だったのだろうか。
一方で、エコな製品を購入すれば、政府から支援金が出るというのもあった。エコなエアコン、冷蔵庫、車を買うと、政府がお金をくれるらしい。そんなエコの貢献と、この大渋滞を天秤にかけて、どっちが大きいかなんて、議論するまでもないんじゃないだろうか。
僕は車を持っていませんから、今回は何もメリットを得ることができませんでした。しかし、日曜日のニュースショーによると、全国の車の70%はETCを装備していないとのこと。つまり、70%の車は今回のメリットを元々享受できないということになる。さらに、高速度道路を走っている車の80%はETCを装備しているというデータもあった。ということはだな、今回の政策でメリットを享受できたのは、全国車保有者の内の、24%に過ぎないということになりますわな。この政策にあてた税金が、約1000億円だそうで、日本の就労人口約7,315万人(H16年10月調査)で割りますと、お一人様136.7万円を負担したことになります。H21年統計によると、日本で登録されている自家用普通自動車(16百万台)と小型自動車(24百万台)の合計は、40百万台となります。人口を130百万人としますと、31%ですから、3人に1人は自家用車をもっている計算になります。計算上はこの内の24%の方が、この政策でメリットを得た可能性があるということになります。就労人口に当ててみると、約2200万人が車を持っていて、そのうちの24%が今回メリットを得たとすると、526万人となります。残り6,800万人の人は、メリットを得ることなく、136.7万円の税金を「使われた」ということになりませんかね。これが公平な税の分配ってやつでしょうか?もちろん、税金の課税額は所得によりまちまちですから、これは非常に「単純計算」によるものです。細かいご指摘メールはご遠慮願いますね。
一方、地方の名産品会社だとか、SAやPAのレストラン、一部のお宿なんかでは、売り上げが去年の20%増になったと喜びの声も聞かれました。しかし一方で、香川のさぬきうどん屋さんでは、押しかける観光客のために、近隣住民の迷惑になるからと、GW中の営業を休んだお店もありました。差し引きしてみると、一体どれくらいの経済効果があったのでしょうか。国民の4%に過ぎない人たちが消費した、いつもより少し多い消費金額のことですがね。
名古屋には、職にあぶれた人達のために、食事を炊き出しするNPOがあるそうです。毎日、各地からこの話を聞きつけて、300人もの人達が集まるのだそうです。大阪にもシェルターと呼ばれる、無料の宿泊施設があります。これらも、一部国の補助金で賄われているようですが、多くは志ある人達のカンパや寄付でやりくりされているようです。あきれた部分最適政策で、沸きに沸いた日本列島でしたが、なるべくお金を使わないように、家でじ~っと読書に明け暮れた僕のような人もたくさんいるでしょうし、GW中は職探しもままならず、善意の炊き出しに頼って、明日の暮らしの不安におびえた人達もたくさんいたことでしょう。
国民の生命と財産を守る。それって、どういう意味だと、総理大臣をはじめ内閣閣僚の皆様や、東大ご卒業の官僚の皆様は、定義しておられるのでしょうか?一度、真剣に聞いてみたいものです。その答えがこの「超ウルトラスーパー部分最適スキーム」であったとしたら、悲しいことですが、日本に未来はありませんよね。