ポトスライムの舟を読んだ。芥川賞受賞作である。新刊で買うとお高いので、文芸春秋を買って読んだ。
主人公は、工場で働き、夜は友人のカフェで働き、週末はパソコン教室で年寄り相手にパソコンを教えている。休みなしの毎日に疲れると、「今が働き盛り」と手帳に書くと、元気が出る。
そんなある日、工場の休憩室の壁に、あくまで几帳面に貼られたポスターを見る。さるNGOが主催する、世界一周のクルージングのポスターだった。そこに書かれた料金165万円とは、くしくも彼女の年収額だった。彼女はこのクルージングに参加するために、この金額を貯金する事を決意した。
現代の若い女性、ふとしたことで自分を紛らわし、自分を慰め、自分に嘘もつくが、自分と向き合っている。贅沢はできないが、付き合いもある。その日の出費を手帳に付けながら、信じたり裏切られたり。彼女の周りは彼女に関係なく回っている。
現代の女性が、こんなに強かったり、あっけらかんと生きているかどうか分からないが、男の僕と、女の彼女は、その生き様において、やはり交わらないなと思った。