「NNNドキュメント’24 人生を取りもどす “JW”の家に生まれた私」(日本テレビ)をみました。

 

三者三様の人生を歩む「エホバの証人」の元2世、3世信者。

そんな3人の過去を振り返りながら、

 

「やがて確実にくるハルマゲドンで、一般社会はすべて滅ぼされる。『エホバの証人』の信者だけが生き残り、無限の命を得る」という、この宗教の教義の根幹を紹介し、

 

・輸血拒否

・ムチによる我が子への虐待

・忌避(たとえ我が子であっても、教団から離れた者とは関係を断つ)

・貧困

・誕生日、クリスマス、七夕、正月などを祝えない

・子供が進学することへの消極的姿勢

 

といった問題点を一つずつ解説しているので、信者でない人にもとても分かりやすい内容であったと思います。

 

番組で取り上げられた3人それぞれに印象的な言葉があります。

 

小松猛さん  「なんでこんな家に生まれちゃったんだろう

        隣の家に生まれていればよかった」

夏野ななさん 「中学生で家出をするとそれから1人で生きてきました」

田中広太郎さん「(大学進学が)選択肢としてすらない状況だった」

 

この3人のそれぞれの言葉が強烈な印象を残しました。

 

3人とも現在も親子の関係が疎遠だと言います。

こうしてメディアに出て、世の中に訴えることで、家族との関係が悪化している面があることを知って、複雑な思いを抱きました。

 

この宗教は、我が子が信仰から離れた場合、親たちに、子を「忌避」するよう求めます。

    *忌避→「忌み避けること。きらって避けること」広辞苑

 

子が信仰を離れ、教団を外部から批判すると、親から絶縁されてしまいかねないのです。

(親との関係を保ちたいと思うあまり、意に反して教団に留まり続ける2世信者も多いと聞きます)

こんな酷い話がこの世の中にあってよいのでしょうか?

 

3人はこのがんじがらめの世界から勇気をもって外に出てきました。そして一歩前に進もうとしています。

これからの人生でやるべきものや、守るべきものを見つけています。

それは何においてもそれぞれの方の生きる力となっているのでしょう。

 

2005年に出版された、元2世信者の大下勇治さんが書いた「昼寝するぶた」を読んで、15歳で家を出て、離婚した父親は頼りにならず、水商売の世界に身をおいたり、食費をギリギリまで切り詰めた生活をしたり、海上自衛隊に入隊して自分を鍛えるなど、「エホバの証人」のマインドコントロールから脱却するためにあの手この手で立ち向かう、その壮絶さに驚いたことを思い出しました。

 

(最後に)

この番組で取り上げられていた人たちは、みなさん元2世信者の方でした。2世信者の被害というのは想像を絶するような深刻なものであり、世間に訴えていくべきことだと思います。

 

加えて、1世信者がどうやってこの宗教に取り込まれていくのか、その辺りについても取り上げて欲しかったと思いました。もちろん30分の番組で全てを盛り込むのは無理でしょう。「カルト宗教」について、「エホバの証人」だけでなく他の教団も含めて「宗教被害を考える」といった視点で、シリーズ化された番組が色々な放送局で製作されればよいのに……と願っています。

 

(番組は、28日午前8時からBS日テレで再放送されるとのことです)